本研究は、離島における正常経過を辿る妊産婦に対して自立した援助が行える助産師を養成するための教育プログラムを開発することを目的に行われた。 本年度は、本研究の第2段階の結果を受け、第3段階である「離島で自立して活動できる助産師を養成する為の教育プログラム作成」を行う為、助産師が離島でケアを実施することに対する自信と不足している能力を明らかにする目的で横断的質問紙調査を実施した。対象はA助産師養成機関の卒業生508名。調査期間は平成26年10月30日から12月10日。調査は、研究者が作成した質問紙を用い郵送にて行った。鹿児島大学医学部倫理審査委員会の承認を得て実施した(第287号)。 結果、アンケートの回収率は34.5%。離島の産科診療所で働く自信がある助産師は2.9%であった。離島での各期別の助産ケアに対する自信は、分娩期が1.8%と最も低く、母乳ケアが14.6%と最も高かった。妊娠期ケアで自分に不足していると思う能力として「妊婦健康診査時の超音波診断法に関する能力」、分娩期ケアは「会陰の切開及び裂傷後の縫合を行う能力」「新生児を蘇生させる能力」「子癇発作時の処置を行う能力」「緊急時の骨盤位分娩を介助する能力」を選んでいた。しかし、その結果は経験している施設によって異なっていた。離島で活動する助産師を養成する為には、卒業時の「周産期の緊急対応能力」は、対象の状況に応じて自立して実施できるレベルが必要としていた。 結論、離島で働く為には、助産師として不足している能力に異常のリスク診断能力や緊急時に必要とされる能力を上げていることから、助産師は異常発生時の搬送までの緊急対応が求められる責任の重さを自覚している故に、離島での活動への不安が高いことが考えられた。離島の助産師を増やすためには、異常や緊急対応能力を系統的に高めるカリキュラムが必要であることが分かった。
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