研究課題/領域番号 |
24593372
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
林 佳子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50455630)
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研究分担者 |
山内 まゆみ 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (00322917)
伊藤 久美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20292039)
正岡 経子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (30326615)
伊藤 幸子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (50301990)
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キーワード | 妊婦 / 僻地 / 出産準備教育 / 安全管理 / 保健師 / ヘルスリテラシー |
研究概要 |
本研究は、これまで分娩施設に長距離の移動が必要となる妊婦(以下、長距離移動妊婦とする)が居住する北海道内のA市を研究フィールドとして調査を行ってきた。 今年度は、前年度に引き続きA市在住の長距離移動妊婦2名を対象に半構造化面接を行った。妊婦への聞き取り調査の結果、分娩施設がない地域の妊婦は助産師からの出産準備教育を受ける機会は稀でも、市町村が実施する妊婦訪問、母親学級などの母子保健事業が保健指導の機会となっていることが明らかになった。そこで今年度は長距離移動妊婦を対象とした調査と並行して、保健師を対象とした調査を開始した。この調査の目的は、長距離移動妊婦に向けた母子保健事業が安全な出産準備に関する教育の機会となりえているのか明らかにすること、および保健師が把握・認識している妊産婦が抱えている課題、母子保健事業の展開における課題も明らかにすることである。調査対象となった保健師は、分娩施設まで2時間前後(距離にして100㎞前後)の移動を要する妊婦たちが居住するA市において母子保健事業に従事する者であった。これまでA市に勤務する保健師7名に非構造化面接を行った。その結果、A市保健師が行っている母親学級は、将来の子育てを見据えた妊娠中からの仲間づくりと妊娠期における健康の維持・向上を大きな目的として実施されていることが明らかになった。また、分娩時および緊急時の移動手段を確保できないケースを把握した際には、妊婦訪問、電話訪問、来所による面談の機会を通して、妊婦が危険性を認識できるよう説明し、交通手段を確保するために家族間で調整するよう働きかけていた。今後、出産準備教育の内容、妊産婦の抱える課題、母子保健事業の展開における課題について詳細な分析を進めていく予定である。また、長距離移動妊婦に関する調査は例数が不足しているため継続し、データ数を増やしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長距離移動妊婦が居住する地域の市町村保健師に関する調査は、データ収集をほぼ終了した。これらのデータを基に分娩施設がない地域における出産準備教育の現状と課題を分析している最中である。一方で長距離移動妊婦に関する調査は、長距離移動妊婦の具体的な出産準備や移動中の安全に関する認識は明らかになってきているが、協力者が確保できず例数が不足しているため研究の進捗としては遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、長距離移動妊婦の協力者を確保し調査を継続するとともに、長距離移動妊婦が分娩時に利用する医療機関の出産準備教育に関する現状を明らかにするための調査を行う予定である。さらに、妊婦への教育プログラム作成に向けて、文献検討も交えて準備を始めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度中に妊婦に関する調査を協力者が確保できず、年度内に終了できなかった。次年度に繰り越して継続することとなった。 平成26年度に研究フィールドの妊婦に関する調査は終了することとする。また、フィールドを新規に開拓し、長距離移動妊婦が居住する地域での調査が可能となれば、妊婦への例数を増やすために調査を行う予定である。妊婦への謝金、インタビューデータを分析するための文字起こし、研究フィールドへの旅費として繰り越した金額については使用する予定である。
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