研究課題/領域番号 |
24593379
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
坂本 めぐみ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (50279577)
|
研究分担者 |
恩田 理恵 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (10307077)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 経済的・社会的ハイリスク / 妊産婦 / 食育 / 栄養教育 / 保健指導 |
研究概要 |
周産期における経済的・社会的ハイリスク妊産婦の現状と問題点を系統的レビューにて文献検討後、専門職への半構成面接を実施し問題点を明らかにした。 文献は国内に限定し、データベース検索では医学中央雑誌を用いて、検索式を社会的ハイリスク妊娠or飛び込み分娩or未受診妊婦or(貧困and妊娠)or(貧困and分娩)とし、得られた538件の文献を一次スクリーニングで181件、その後二次スクリーニングにて33件を抽出し検討した。さらにハンドサーチにて得られた35件のうち、一次・二次スクリーニングを行い、重複を除く5件、計38件の文献を検討した。 現在我が国における経済的・社会的ハイリスク妊産婦への研究はほとんどなされておらず、38件のうち37件が対象地域もしくは対象施設にて対応した妊産婦の後方的な調査報告であり、文献研究は1件であった。都道府県単位の周産期の現状と医療対応の調査報告は4件、未受診妊婦の全国的な調査報告は1件であった。経済的・社会的ハイリスク妊娠の定義は定まっておらず、文献によって定義が異なった。経済的・社会的ハイリスク妊娠の発生率は0.2~2.5%で、年間2,000~5,000件の分娩が未受診妊婦と推測された。対象妊産婦は医療と生活、育児の問題を抱えており、看護上では周産期の高度医療と看護、住所不定などの生活基盤の欠如、生活と育児支援者の不在、社会一般常識と規範の欠如による生活支援の必要性と困難さの問題を有していた。 経済的・社会的ハイリスク妊産婦の対応や健康教育を行う専門職へのインタビューでは、産婦人科診療施設の現状として、未受診に伴う医療の危険性、公的支援を含む経済的問題、家族関係の破綻、被虐待経験を有する母親の子育て、母親の生活リズム等の問題があり、対応が短期間に集中するため産科医師や助産師の負担は大きく、健康教育を支援するサポートの必要性が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予備調査(2)である、「経済的・社会的ハイリスク妊産婦とその後の母子の問題と食・栄養教育に関する実態調査」についての進行については、対象者の多忙により終了していない。この調査については次年度も引き続いて行う。 本調査の「経済的・社会的ハイリスク妊産婦および母子の食生活・栄養調査」については予定通り開始している。次年度の研究進行には、影響を及ぼさずに今年度の進行を進めていけると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度より行っている、経済的・社会的ハイリスク妊産婦と母子の支援を行う専門職に対する半構成的面接と、経済的・社会的ハイリスク妊産婦と母子の食生活・栄養調査を引き続き行う。この調査の実施と分析にあたっては、調査の進行が遅れたために使用予定であった当該研究費が生じた。この調査を継続して実施するために、次年度はこの当該研究費を用いて行う予定である。 さらに、これまでに得られた結果をもとに、研究者間で経済的・社会的ハイリスク妊産婦に対する食教育・栄養教育の内容と手段を開発する。この教育内容と手段では従来の保健指導の教材だけではなく、多機能携帯電話等を活用した教育手段と内容を検討開発する。教材作成にかかる機器の購入や研究協力者への謝金などを予定している。 さらに、作成した教材の有効性を確認するために、被験者への試用を行い検討する。その被験者への協力費も予定している。 また、これまでに得られた成果報告を、学会発表と論文投稿にて行う。これらの費用については翌年度以降に請求する研究費を用いて行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
経済的・社会的ハイリスク妊産婦と母子の支援を行う周産期医療施設の助産師、市町村保健センター保健師と、公立保育所の保育士へのインタビュー等の研究協力と、インタビューのテープおこし、また分析を進める際の研究補助を予定している。この費用については使用予定であった当該研究費を用いて行う。 また、経済的・社会的ハイリスク妊産婦と母子の食生活・栄養調査には、食物摂取頻度調査の質問紙使用料、研究対象者への消耗品と、データ入力、データ分析のための研究補助を予定している。さらに研究成果の報告のための発表のための投稿料、旅費等については翌年度以降に請求する研究費を用いる予定である。
|