研究課題/領域番号 |
24593379
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
坂本 めぐみ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (50279577)
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研究分担者 |
恩田 理恵 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (10307077)
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キーワード | 経済的・社会的ハイリスク妊産婦 / 食・栄養教育 / 看護 |
研究概要 |
平成25年度は産婦人科診療施設の看護管理者・看護者、県・市町保健師、公立保育所長への半構成面接を実施した。経済的・社会的ハイリスク妊産婦および母子は地域性が大きく対応頻度は施設間で異なった。対象者の背景は若年、性風俗産業や非正規雇用などの生活基盤のなさと経済問題、経済的問題を抱える外国人があげられた。要因では精神疾患やメンタル面での異常、幼少時からの過酷な成育歴、経済的困窮、社会保険未加入を含めた社会保障の問題、妊娠に対する自覚のなさがあげられた。対応に苦慮する事例では未受診の精神疾患、社会性のなさ、乳児虐待予防などの慎重な対応、クレームなどであり、経済的な困窮では収入よりも支出のアンバランスが問題であり、家庭の経済管理教育の必要性があげられた。食・栄養教育などの健康教育は、いずれも必要性を感じていたが対応に追われ十分に行うことができないことがあげられた。 次に、一般妊婦および経済的・社会的ハイリスク妊産婦の食生活状況を明らかにするために、首都圏都市部に居住する妊婦85名、中山間部に居住する50名に対してBDHQ(佐々木式食物摂取頻度調査)を実施した。その結果、都市部居住妊婦の摂取エネルギーは1602.5kcal(推定エネルギー必要量の66%)鉄分6.7mg、カルシウム503.2㎎、葉酸282マイクログラムであったが、中山間部に居住する妊婦ではエネルギー1580kcal(同72%)、鉄分6.0mg、カルシウム421.4mg、葉酸237マイクログラムであった。年収200万円以下の低所得群では、いずれの栄養素摂取量も低い傾向にあった。 以上から経済的・社会的ハイリスク妊産婦に対する食・栄養指導のために必要とする教育方法を検討した。調理経験や関心がない、初等教育の理解が十分ではない対象者に、動機づけとなる教育媒体を作成する必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画予定である調査のうち、経済的・社会的ハイリスク妊産婦の対象者確保が難しく、継続した調査が必要になった。 さらに、経済的・社会的ハイリスク妊産婦への健康教育の推進を考えると、非妊娠時の食生活や生活状況を踏まえた内容が必要である。そこで、経済的・社会的ハイリスク妊産婦の予備軍である対象者への調査を行う必要があることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
経済的・社会的ハイリスク妊産婦への食生活状況を明らかにするために、妊婦の食生活状況調査を継続して行う。さらに経済的・社会的ハイリスク妊産婦の背景要因の一つである性風俗産業に従事する女性100名への食生活状況調査を実施する。 また、3年目は、これまでの研究の結果より明らかとなった、経済的・社会的ハイリスク妊産婦に対する、周産期の食・栄養教育媒体を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初に計画していた経済的・社会的ハイリスク妊婦と、比較対象である一般妊婦の食生活状況調査、経済的・社会的ハイリスク妊産婦が行っていた職業として多い性風俗産業に従事する女性の食生活状況調査が遂行できなかったためである。 経済的・社会的ハイリスク妊産婦10名、および比較対象を行う一般妊産婦への食生活調査を行う。さらに、性風俗産業に従事する女性100名に対して食生活調査および栄養摂取調査を実施する。
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