最終年度は縦断的調査を実施した。縦断的調査の対象は二年目までの横断的調査の妊娠初期の対象者のうち、縦断的調査参加に同意が得られた調査が開始できた妊婦は45名(95.7%、妊娠8-14週、初産婦20名・経産婦25名)であった(1回目調査)。2回目調査41名(91.1%、妊娠20-26週)、3回目調査41名(91.1%、妊娠29-32週)、4回目調査32名(71.1%、妊娠34-37週)であった。対象者の年齢は31.6±4.5歳(21-40歳)であった。 それぞれのd-ROM値とBAP値の平均値は、1回目調査485.9 U.CARR、2224.7μmol/L、2回目調査606.1 U.CARR、1858.8 μmol/L、3回目調査649.5 U.CARR、1732.7 μmol/L、4回目調査658.1 U.CARR、1725.1 μmol/Lであった。d-ROM値は週数が進むにつれ増加し強度の酸化ストレス状態にあり、BAP値は週数が進むにつれ低下する傾向が見られ、本研究の横断的調査と同様の結果が得られた。 4回の調査それぞれにおいて、2変量の相関を分析した。1回目調査では、d-ROM値は妊娠回数、非妊時BMI、妊娠週数、最低血圧と有意な相関がみられた。2回目調査では、d-ROM値BAP値ともに有意差のある要因はみられなかった。3回目調査では、d-ROM値は非妊時BMI、PAL、状態不安得点と正の相関、BAP値は状態不安得点と負の相関関係がみとめられた。4回目調査では、d-ROM値は状態不安得点と正の相関、BAP値は最高血圧、最低血圧、LDLコレステロールと負の相関関係が認められた。 これらの結果から、酸化ストレス状態は、非妊時BMIが高いことや血圧の上昇や高脂血症と関連し、妊娠前からの体重コントロールや妊娠合併症の予防の必要性が示唆された。さらに酸化ストレス状態と妊娠期の不安等との関連も確認され、精神的支援も必要とされる。
|