研究課題/領域番号 |
24593384
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
山本 美智代 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (00269515)
|
研究分担者 |
中川 薫 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00305426)
|
キーワード | 災害 / 重症心身障害児 / 重症心身障害者 / 発達障害 / 災害対策 |
研究概要 |
【研究目的】東日本大震災は首都圏においても多大な影響がもたらされた.将来的に大きな地震が起きることが予測されており,震災に対する防災策の研究は待ったなしの状況である.特に,災害時要援護者の防災に関しては研究が不十分である.そこで,本年度は次の3点を研究目的とした.①首都圏在住の災害時要援護者が,東日本大震災において何を経験したかを明らかにする.②彼らは,どんな防災意識をもち,どんな防災策をとっているかを明らかにする.③防災策をとっていない人は,どんな特徴をもっているか,その背景要因を明らかにする. 【研究対象・方法】本年度の災害時要援護者として,首都圏在住の在宅重症心身障碍児者の家族と,さらに東京都内のある区にある小中学校で,発達障碍の児をフォローする通級に在籍する児童の家族である.研究方法は配票調査を実施した.調査票の内容はどちらの対象に対しても,対象者(家族)の属性項目,発達障碍児者の属性項目,障碍の種別,手帳の所持の有無と等級,サービスの受給,東日本大震災時に経験したこと,安否確認の有無,行っている防災策,防災意識,福祉避難所に関する認知度,震災情報についての情報源である.調査票の配布方法は,在宅重症心身障碍児者に対しては,2013年7月末~8月初めの2週間に,研究協力機関である外来の診察や訓練を待つ患者の家族に調査の趣旨等を説明し,協力の同意が得られた場合に調査票を手渡し,郵送にて回答してもらった.発達障碍児に対しては,2014年3月のある1週間に通級に通う子どもの保護者に調査票を配布し,同じく郵送にて回答を得た. 【分析結果】在宅重症心身障碍児者の家族に対しては408票配布し,228票回収した(回収率55.9%)詳細な結果については現在分析中である.発達障碍児に対しては調査票の配布が終了し,現在回答を待っている状況である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に質的研究方法を用いて,東日本大震災時に首都圏在住の重度障害児者と発達障害児が,どのような影響を受けたのかその実態を把握した.その結果を踏まえ平成25年度は,より多くの対象者の災害発生時の意識を配票調査によって把握することができた. 順調に調査を行うことができたのは,研究協力機関が調査票配布のための場の提供や,調査依頼のポスターの掲示,調査に関する質問の伝達等,調査環境を整備してくれた協力機関の援助が大きい.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の研究開始当初では,3年目に災害の防災対策として,医師や看護師,心理士などの専門職間でカンファレンスを開き,指針をまとめる予定であったが,これまでの研究を進める中で,要援護者の思いを必ずしも行政や地域が理解できているわけではないことを知り,今後は要援護者を取り巻く環境に対して調査を行いたいと考えている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた消耗品が安価で購入できたため 次年度の郵送費として使用する
|