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2014 年度 実施状況報告書

家族看護領域における看護診断の普及に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 24593385
研究機関愛知県立大学

研究代表者

山口 桂子  愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80143254)

研究分担者 服部 淳子  愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70233377)
曽田 陽子  愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (80405224)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード家族看護 / 看護診断名 / 事例集積 / 事例分析
研究実績の概要

1. 専門家会議における「家族看護領域における典型的な問題事象を有する模擬事例」の看護診断名の適用及び診断基準との適合性に関する分析
看護診断名の活用は、共通言語から共通理解を導き、効率の良い看護実践につながるが、家族看護領域における看護診断名の普及は充分とはいえない。これまでの本研究の取り組みにおいて、過去に公表された「家族に対する援助過程が示されている事例」の中では、NANDA-Ⅰ等に掲げられている看護診断名を用いて記載したものは非常に少ない一方で、類似する「特有の問題状況」を看護診断名として同義で示されている報告が多いことが明らかになった。
今年度は、家族看護領域における典型的な問題事象を有する模擬事例を分析対象として事例検討を行い、NANDA-Ⅰの看護診断名の適用及び診断基準との適合性について分析した。
方法は、まず家族看護領域で表記される「特定の家族員における役割過重」「家族員間の役割調整不足」「家族員間のコミュニケーション不足」などの典型的な問題状況(情報)を含む事例を作成した。その後、専門家会議において、事例として提示された情報から典型的な家族問題の状況を抽出し、その問題状況とNANDA-Ⅰに示される看護診断名との照合を行った。また、診断指標についても照合して検討した。
その結果、「特定の家族員における役割過重」に関する問題状況は、定義の内容との照合から「介護者役割緊張リスク状態」と類似し、そのリスクファクターとの照合においてもほぼ合致していた。しかし、家族全体の問題状況を示す、いわゆる広義では「家族機能障害」に含まれるような問題については、より焦点化した診断名は認められなかった。すなわち、問題状況が家族の中の特定の個人に顕在化した場合の診断名としては掲げられているが、家族全体の問題状況を示す診断名は不十分である傾向が明らかになった。事例集積を継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度~今年度にかけて、当初の計画である「1.家族看護に関連する診断名の理解度・活用度、及び、それに影響する要因の実態調査」の実施に関して、質問の方法や内容について慎重に検討してきたが、この間の他者の公刊書物等を参考にしても、一般看護師を対象とした実態調査を行った場合に、質問項目の如何にかかわらず、単にその低さを、再度、証明するにとどまる可能性がさらに強く予測された。そこで、実態調査を行う計画を見直し、一般看護師を対象とした調査を行わないことに決定した。
一方、「2.専門家会議における種々の事例への看護診断名の適用と集積、および看護診断名の適合性に関する検討」については、「家族看護領域における典型的な問題事象を有する模擬事例」を作成し、看護診断名の適用及び診断基準との適合性に関する分析として進めてきた。しかし、模擬事例の作成において倫理的に慎重を期したため、診断名の適否の根拠となる事例集積が不十分であり、また、その信頼性・妥当性を確認するための手続きまで至らなかった。その結果、診断名の普及を図るための印刷物の配布にも至らなかった。
よって、達成度としては、「(3)やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

1. 専門家会議における「家族看護領域における典型的な問題事象を有する模擬事例」の看護診断名の適用及び診断基準との適合性に関する分析を継続する。今年度の分析によって、明らかにしようとする結果の傾向や概要を知ることができたため、今後は、問題状況の異なる事例を追加集積し、詳細な分析を加えることにより、これまでに明らかにされた傾向について、さらに信頼性・妥当性の高い結果として抽出する予定である。
2. 1.の結果について、信頼性・妥当性を検証する。方法としては、家族支援専門看護師等、家族看護の専門的能力に優れた看護師約50名を対象として、自記式質問紙調査によって行い、質的に分析する。
3.以上の結果をもとに、看護診断名の普及に向けたリーフレットを作成し、家族看護に関心の高い臨床現場への配布を行い、看護診断名の活用促進に向けた啓発活動を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、家族看護領域における典型的な問題状況を示す事例を作成し、その事例に対する家族アセスメントの結果を適切に表す診断名の過不足に関して検討した。その結果については、2015年第12回国際家族看護学会の演題として採択され、発表予定である。しかし、事例作成において倫理的に慎重を期したため、診断名の適否の根拠となる事例集積が不十分であり、また、その信頼性・妥当性を確認するための手続きまで至らなかった。その結果、診断名の普及を図るための印刷物の配布にも至らなかった。よって未使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

未使用額は、結果公表のための国内外の学会参加費及び旅費、結果公表のためのリーフレット等の作成費や配布時の送料に使用する。また、結果の信頼性・妥当性検証のために次年度実施する調査費用や謝礼、事例検討会の参加者への謝礼にも使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 家族看護領域における看護診断名の普及に関する検討2015

    • 著者名/発表者名
      山口智治,山口桂子,服部淳子,曽田陽子
    • 学会等名
      第12回国際家族看護学会
    • 発表場所
      オーデンセ(デンマーク) ブルホテル
    • 年月日
      2015-08-18 – 2015-08-21

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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