研究課題/領域番号 |
24593387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 聖泉大学 |
研究代表者 |
金森 京子 聖泉大学, 看護学部, 講師 (10352915)
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研究分担者 |
中野 桂 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40324561)
吉川 英治 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (80263036)
只友 景士 龍谷大学, その他部局等, 教授 (30303762)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 妊娠リスクスコア / 出産場所 / 総合周産期母子医療センター / 医療連携 / 母体搬送 / 助産ケア |
研究概要 |
「妊娠リスク自己評価表」(以下スコア)は、2004年厚生労働科学研究班が開発した周産期予後を推測するスコアで、これにより妊婦は低・中・高リスク群に分けられ、其々第一次・第二次・第三次医療施設での出産が適切とされている。しかし、本スコアの評価については開発後、明確な検証結果が報告されていない。そこで本研究では、総合周産期母子医療センター(以下センター)で出産した女性を対象に、本スコアの有効性を検証する。 研究目的は次の4点であった。センターで出産した女性と搬入児の母親を対象に、①スコアを用いて評価し、妊娠期のリスク得点と各群の分娩帰結の関連を検討する。②搬入された妊産婦・新生児を抽出し、リスク得点と併せて事例の背景を分析する。③利用者のスコアの周知・利用状況に関する実態を把握し、自らの出産や出産場所の諸条件に、どのような要望を持ってるのか明らかにする。④以上の①~③の結果を、第一次医療施設の調査成果と併せて、周産期の地域医療連携における政策提言にまとめるである。研究計画は次の3つのプロセスで進めるとしていた。①センターにおけるスコアの適応評価を検証する。②母体搬入事例ならびに新生児搬入事例を後方視的に検討する。③出産場所選択における対象女性らの周知・利用状況と出産場所決定の関連要因を検討するである。 調査開始にあたり、研究協力者(新生児科医師・助産師)の助言を得たところ、新生児搬入例においてスコアに明確な差があるとは考えられず、あるとすれば、予め母体搬送されている。また、大規模病院において前方視調査は業務上、倫理的に困難である。そこで、母体搬入・他院からの紹介受診者に焦点を絞り、平成25年1月1日から「H24年分娩者」と「H25年分娩者」の同時後方視調査を開始した。特に搬入・紹介事例は、診療所分娩での同調査では明らかにできなかった、スコアの革新につながる重要な評価である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究目的の達成度は、交付申請時の目的・計画を一部修正したことを前提として順調に進展し、目的の①②③の一部を達成した。理由は以下のとおりである。 具体的に「H24年分娩者」への調査では、平成24年度1月1日~12月31日までに分娩し、当該調査研究の対象となった526名へ、2種類の調査票(①厚生労働科学研究班が開発したスコア、ならびに②オリジナル質問紙/無記名自記式)を郵送配布・郵送回収した。現在約250通程度の返信(回収率約50%)があり、施設スタッフの協力の下、対象者の診療録よりスコアの回答について点検を行い、同時に分娩帰結に関する情報を収集している。「H25年分娩者」への調査では、平成25年1月1日~現在までの分娩終了者176名に対し、調査票を産後3日目以降に手渡し、退院前に回収した。うち協力が得られた対象数は143名で(回収率:全分娩数の81.3%)、有効回答は142名であった。以下の手順は同じである。 現在調査進行中の「H25年度分娩者」への調査については、平成25年1月1日~5月15日までの上半期の中間評価として、研究目的に即して以下の3点について成果をまとめた。1.総合周産期母子医療センターで出産した女性の妊娠リスクスコアを用いたリスク評価(目的①)、2.母体搬送ならびに紹介受診例における妊娠リスクスコアの有用性(目的②)、3.出産した女性の妊娠リスク自己評価表に対する認識(目的③)。なお、本研究成果については、平成25年度に開催される国内外の学会において報告予定である。 以上より、当該研究はおおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は調査開始にあたり、主に研究組織の強化、調査手順ならびに調査票の再検討、研究倫理審査組織における承認、調査の実際等に時間を費やした。 平成25年度は、引き続き「H24年度分娩者」への調査として、既に郵送した調査票の回収や返信されてきた調査票を基に調査対象者の診療録と照合しスコアの回答について誤りがないか点検を行うとともに、同時に分娩帰結に関する情報を収集していく予定である。併せて「H25年度分娩者」への調査として、現在進行中である5月後半から12月の分娩について、同じく調査票の配布・回収を継続的に実施し、点検、分娩帰結の収集を行っていく。 上記によって得られたデータを量的・質的アプローチにより分析し、その成果(結果・考察)を広く国内外の学会へ報告する、あるいは報告するための準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に平成25年度は、「平成24年分娩者」と「平成25年分娩者」のうち研究協力が得られた研究対象者への謝金、研究支援員の雇用、データ分析のための統計ソフトの購入、論文執筆のための専門書の購入、国内外の発表に掛るネイティブ・チェック、学会参加費、旅費、研究に掛る消耗品等に予算を使用する予定である。 「平成24年分娩者」の協力見込み人数は約250名(年間分娩件数×5割、郵送配布・郵送回収)と「平成25年分娩者」の協力見込み人数は約480名(年間分娩数×8割、手渡し配布・退院時Box回収)である。
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