研究課題/領域番号 |
24593391
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
榮 玲子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (80235134)
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研究分担者 |
松村 惠子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (30310254)
植村 裕子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (50353149)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 育児適応 / 母子関係 / 愛着 / 子どもの行動特徴 / 母親の精神状態 / ストレス対処能力 |
研究実績の概要 |
平成24年度に開始した妊娠末期から産後1年までの縦断的調査を完了した。研究分担者や研究フィールドである産婦人科医院および助産院の2施設への報告と意見交換、データ分析結果に関する検討を行った。 対象は、妊娠末期235名から協力を得、その後の縦断調査対象は、産後5日前後の産褥早期224名、産後1か月159名、3か月135名、6か月124名、9か月116名、1年110名であった。 最終年度は、1)産褥早期の育児適応に関する検討、2)産後1年までの縦断調査に協力を得た110名の育児適応に関する要因の検討、3)産後1年までの抑うつ状態と育児適応との関連を検討した。 産褥早期では、母親の心理状態、新生児の行動特徴は、母子の応答的な相互作用に影響し、マタニティブルーズを予測できた約1割の対象では、母親の心身状態、新生児の行動特徴である“泣き”と母子関係で相違が認められたことから、産褥早期の育児適応には、新生児の行動特徴の理解と母子の心身の回復を考慮した母子関係形成への支援の重要性が示された。 産後1か月から1年では、育児適応の得点は産後1か月が最も低く、3か月には高められ、3か月以降1年までは比較的安定した状態であることが示された。この育児適応には、全時期で母親の精神健康度、乳児への愛着との関連が確認され、母親の精神的な健康や子どもへの愛着が影響すると考えられた。また、1、3、6か月では子どもの行動特徴による養育のしやすさ、6か月以降では母親の疲労感が育児適応に関連することが確認された。 産後1年までの抑うつ状態(EPDS得点9点以上)をみると、妊娠末期から産後1年までに抑うつ状態を経験したものは47名(42.7%)であり、母親のもつストレス対処能力、育児への自信や生活適応、子どもの行動特徴による世話の困難さが要因となり、育児適応できていない状況が示唆された。
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