研究課題/領域番号 |
24593396
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
井上 松代 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 講師 (30326508)
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研究分担者 |
新城 正紀 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 教授 (50244314)
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キーワード | DV被害女性患者 / 病院勤務看護職者 / DV被害女性患者への対応 |
研究概要 |
本研究は、医療者がDV被害女性の早期発見のために病院の問診票で暴力被害の情報を患者から得られる体制作りと被害者への適切な対応への実践力向上、支援体制の基盤確立を目的としている。当該年度は、本研究の2年目で、初年度に質問紙調査結果で得られた、病院勤務看護職者のDV被害女性患者への対応および早期発見に関する知識の質問項目から抽出された20項目を用いて、看護職者への教育的介入と介入後の調査を行った。初年度の調査対象施設のうち1施設から承諾を得て、3回の研修会と研修後の質問紙調査を行った。研修内容は「DVの基礎知識」、「DVによる健康被害」、「DV被害女性への看護」で、それぞれ専門家の講師を招いて実施した。研修には、30~50名が参加受講し、研修後の質問紙調査の分析対象は35名、22名、21名で、受講回数が多い対象者ほど知識を問う質問への正解が顕著に増えることが確認できた。初年度に、病院勤務看護職者のDVに関する知識の実態を質問紙調査により把握した結果を根拠資料として、研修会内容と講師の設定を行った。さらに先述した20項目の質問項目をこの教育的介入の評価ツールとして用いてその効果を把握できた。 当該年度で推進してきたこれら一連の研究計画と実践から意義ある成果が得られたものと推察される。また、今後は専門的な研修とその評価を発展的に実践・普及することにより、看護職者および医療者によるDV被害女性の早期発見や適切な対応への実践力向上に役立つ可能性があり、重要な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、医療者がDV被害女性患者の早期発見のために病院の問診票で暴力被害の情報を患者から得られる体制作りと被害者への適切な対応への実践力向上、支援体制の基盤確立を目的に、昨年度の平成24年度から計画・遂行されている。平成24年度(初年度)に当初計画していた一部を当該年度(平成25年度)に持ち越して研究活動を実施した。具体的には、平成24年度には、1)病院勤務看護者のDVに関する知識と対応実践の現状を明確にした(質問紙調査:ベースライン調査および1次調査)。その調査結果を踏まえて、当該年度(平成25年度)は、2)介入施設への教育プログラムの計画を立てて実施する、3)介入施設への教育プログラム実施後の変化を把握する(2次調査)ことを実施した。昨年度持ち越した研究計画については遂行できたが、当初の研究計画上にある当該年度予定していた4)介入施設で取り組むべき課題の抽出とその課題への取り組みの支援については実施に至らず準備段階である。そのため計画遂行についてはやや遅れている状態と言える。このよう状況になったのは、当該年度で実施したDVに関する研修会実施に際し、講師の選定および調整、介入施設の選定、対象となった病院との調整、開催時期や開催場所の決定等について、より効果的な研修会の実施のための検討に時間を要し、研修会の開催が平成25年度末になったためである。 今年度(平成26年度)は、平成25年度に実施できなかった4)についても今年度の計画と合わせて行う予定である。若干計画の遂行が遅れている事実はあるが、今年度は計画実施の確実な管理運営を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度(平成24年度)に、大規模調査を終え、病院勤務看護職者のDV被害女性患者の早期発見および対応に関する知識・実態及びDVに関する知識と対応の構造を因子分析と確認的因子分析により明らかにした上で、当該年度(平成25年度)は、教育プログラムを作成し、介入施設への専門家による研修会を3回実施した。また研修会後の評価を質問紙調査により把握した。 今後(平成26年度)は、介入施設で実施した研修会の評価と効果について研究者と施設側と情報共有を図り、DV被害女性患者を早期発見できる問診票の作成、DV被害女性患者への対応に関する体制作りや対応のためのマニュアル作成等への課題について研究者は施設側と協同して取り組む。 そのためには、研究分担者との役割を明確にして、研究を進めていく。また、明確になった調査結果を関連の学術雑誌および学会へ発表する。 次年度(平成26年度)の研究計画について、当初計画では、介入施設と他の6施設に対して1次調査同様の最終調査を予定していたが、当該年度(平成25年度)に研修会を実施した際、研修受講者からシュミレーション教育の方法を用いた研修会の希望が多く出たため「DV被害女性への対応」の実践力向上を支援することが、当初計画の実施よりも優先すべき必要があると推察された。具体的に、どのような場面でDV被害女性患者にどのように声をかけるのか、どのような場所を設定するのか等、すでに作成したDVの知識や対応に関する質問項目(抽出された20項目)をもとにした研修会の追加を計画に入れ当初計画の変更を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用予定額の約110万円が次年度に繰り越された理由については以下のとおりである。 1)代表研究者および分担研究者の2人は、外国旅費の予算(60万円)を組んでいたが調整がつかず次年度に情報収集のための予定をずらした。2)英文学術誌への投稿を準備中であり、翻訳(30万円)と論文投稿(4万円)の予算を次年度使用に変更した。1)と2)をあわせて約100万円で、これらの計画の実行を次年度に移した。 平成25年度未使用の外国旅費について、代表研究者および分担研究者の2人は、外国旅費の予算(60万円)を次年度(平成26年度)米国ニューオーリンズで開催されるAPHA(アメリカ公衆衛生学会)への情報収集を計画している。また、英文学術誌への投稿については、次年度(平成26年度)中の論文の採択を目指している。当該年度の予算執行については、計画的でなかったことは事実だが、予算を確実に効果的に使用するための策として次年度で予算執行していくことへ計画を変更した。当初の次年度(平成26年度)の予算執行計画と合わせて早めに調整して計画的運営を目指す。
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