研究課題/領域番号 |
24593397
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
金城 やす子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (90369546)
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研究分担者 |
比嘉 憲枝 名桜大学, 健康科学部, 講師 (40326509)
安里 葉子 名桜大学, 健康科学部, 講師 (70316222)
松下 聖子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (00572538)
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キーワード | 保育園看護師 / 医療的ケア / 配慮の必要な子 / 保育保健 / 業務役割 / 障害児在宅ケア / サポートシステム |
研究概要 |
病気や障害のある子どもが在宅で療養し、通常の保育所に通所するためには、どのような支援が必要であるのか、また保育園における医療的な処置やケアの実施状況の把握、保育園看護職の役割とその支援のあり方について研究を進めた。 ①平成25年度は八重瀬フィールドでの保育園看護職の支援のための研修会を継続開催し、課題と支援内容の検討を進めた。その結果、日本保育園保健協議会の地方会を開催することができ、約250名の関係者が参加した。保育園における医療を要する子どもの対応に関する問題をディスカッションすることができた。その中で地域の医療機関との連携や行政との連携が進められるようになった。八重瀬フィールドでの研修会を通して、口唇口蓋裂児の保育や感染症発症時の対応などが明確になった。 ②全国の保育園の看護職配置状況を調査し、看護職の支援のあり方を検討した。沖縄県を対象にした調査では、都市部であること、保育総数の多い園、0歳児保育人数の多い園に看護職の配置が多いことが明らかになっており、全国46都道府県を対象に調査を実施した。保育総数150人以上の園を対象に各県ごとに無作為に抽出し、全2000ケ園を抽出した。園長及び看護職を対象に質問紙調査を実施した。保育園園長625名、看護職345名の回答を得た。回答に占める保育園看護職の配置実態は約6割であり、公立、私立によりその配置には差があった。 ③前年度からの介入研究(フィールド支援)と障害児の在宅支援に関する内容を学会に報告した。アジア障害社会学会、小児保健学会等で報告した。 保育園看護師は一人配置が多く、看護師への支援体制の整備が急務である。また、研究的な視点や自己研鑽等を進めるには十分な環境になく、支援の在り方を検討すること、そのためのサポート作りが必要であることが明確にされた。調査結果は今後分析、学会等に報告し、必要な支援を明確にしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、予定した計画通りに進んでいる。 本研究では、①医療的なケアを要する子どもの保育ニーズとその対応について検討することを目的にしている。そのためには保育園の環境整備として看護職の配置を推進すること、そのために支援システムの構築をすすめる。②保育園看護師の配置や業務実態を把握するための実態調査を行い、どのような業務を実践しているのか、業務を遂行するためにはどのような支援があればよいと考えているのか、看護師や保育園園長のニーズ把握をすることを目的に調査を実施した。③また、障害児が通常の保育を受けられるためには、保育園に対してどのようなニーズがあるのかを把握する必要があることから保護者を対象にニーズ調査を実施した。④さらに、具体的なサポートシステムを八重瀬フィールドを使用して実践、介入することで実際に運用できるサポートシステムの体制整備を行うことを目的に、研修会等を実施した。研修会は2か月に1回の定例化ができ、最新の情報を提供すること、各園の課題や児への関わりにおける問題、園としての対応の難しさなどの情報とその対応に向けた話し合いができた。研修会は研究者が立ち上げ、定例化まで進めることができ、目標であった保育園看護師の主体的な会の運営まで進めることができた。 現在、障害のある児の保育園入園ニーズや保育ニーズについて障害児の母親を対象に調査を行い、インタビュー内容をまとめている。さらに、保育園の看護師や園長を対象に実施した調査の結果、看護師が業務を実践するための支援のあり方について調査結果をまとめている。 障害児の通常保育をすすめるにはまだまだ十分な体制にはないが、看護職の配置が推進され、看護職のサポートシステムが構築されれば、健常児と障害児の共同での保育が可能となる。そのためにも、看護職の配置推進が重要であり、看護職の待遇面への行政的な措置や経済的な補助が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本研究の最終年となる。今年度の研究計画は、①八重瀬フィールドでの研修会の継続開催と看護職のネットワークつくりをさらに推進する。その結果をまとめ、八重瀬モデルとして、全国の保育園看護職のサポートシステムとして提供する。日本保育園保健協議会で報告し、看護職サポートシステムのモデルを提示する。②平成25年度に調査した結果をまとめ、全国の保育園の看護職の業務実態と必要なサポートシステムを学会等で報告する。そのうえで、一人配置の看護職がさまざまな医療的な課題を抱えている子どもの保育を実現するための方策を検討する。その一つとして、アジア障害社会学会で報告し、筑波大学等、障害児の保育を実践している研究者の意見をいただき、必要な支援を検討する。③障害児の中でも発達が気になる子ども、発達障害の子どもへの支援のあり方について、保育園の保育の方法や保育のための連携の方法についてまとめる。 本研究の結果を報告書にまとめる。また、研修会でディスカッションした内容をマニュアル本としてまとめ、保育園看護職の指導書とし、配布する。 研究最終年として実施を予定していることは、①調査結果の分析、報告(学会旅費、参加費、資料代等)②介入研究の継続(研修会開催費用、交通費等)、③報告書、指導書の編集、作成(出版費、印刷費)、④成果報告のための学会報告(旅費、参加費等)および論文作成(投稿料等)である。
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次年度の研究費の使用計画 |
3年間の研究計画では、初年度に全国調査を実施し、平成25年度(2年目)には結果を学会報告する予定でいたが、調査の実施が遅れたため、学会報告が最終年度に持ち越されることとなった。そのため、使用予定の旅費が残額となり、最終年に使用する計画への変更を余儀なくされた。また、八重瀬フィールドでの介入研究では、発達が気になる子どもの就園や保護者支援の講演会を実施したが、予定の会場費、運営費が予定より大幅に減額になったこと、講師料が予定より少なくて済んだこと、保育園保健協議会沖縄地方会の開催を共催としたが、運営費や会場費が少額で済んだことなど、予算消化に変更が生じた。 学会報告として、日本公衆衛生学会、日本保育園保健協議会、沖縄小児保健学会、アジア子ども支援学会を予定しており、交通費 、参加費 を計画している。 3年間の研究成果を報告書にまとめる予定であり、印刷費、報告書送付費等を予定している。
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