授乳期の乳腺炎の発症原因は、乳房内に乳汁がうっ滞することと言われている。そのため、授乳中であれば誰もが起こりうるものである。現在、重症乳腺炎における医療介入の判断は母乳育児支援に携わる看護者の臨床的判断で行われており、その判断に迷いがあると言われている。 そこで本研究では、医療介入が必要な乳腺炎を見極めるための「授乳期の乳腺炎診断アセスメントツール」を開発し、その有効性と実用性を検討することを目的とした。第1段階として、ツールの内容妥当性と表面妥当性を検討すること、第2段階として、本調査をふまえたプレテストとしてのツールの信頼性と妥当性を検討すること、第3段階の本調査では、臨床的有用性の検討をすることである。 その結果、第一段階では、助産師らの意見ふまえツールの項目、用語を見直した。第2段階では、超音波検査や乳汁培養の検査も同時に実施した結果、ツールを用いた助産師らのデータと超音波検査による医療介入が必要な重症乳腺炎の判別の違いはなかった。また培養結果でも、乳汁中には常在菌が検出されたという既存研究の裏付けとなるデータが得られた。第3段階では、ツールの信頼性ならびに妥当性を確認するとともに、調査施設をこれまでの施設や協力助産師を増やし変更することで汎用性をも検討することができた。 今後、さらにツールの洗練をするために、医療介入の程度として乳腺炎の重症度をも見極められるよう、介入方法別に検討できるツールの開発と、このツールの一般化として母乳育児支援に携わる看護者らへの公表とともに、ビギナー看護者らへの教育媒体としての公表が課題であると考える。
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