研究課題/領域番号 |
24593406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
立岡 弓子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70305499)
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研究分担者 |
高橋 真理 北里大学, 看護学部, 教授 (20216758)
香取 洋子 北里大学, 看護学部, 准教授 (90276171)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 早期母子接触 / 低体温 / 母子関係 |
研究概要 |
【目的】出生直後から2時間までの新生児の胎外生活適応状態について、早期母子接触を実施した新生児と母親を対象に生理学的指標(体温・呼吸・心拍数・酸素分圧・血糖)から時系列で検討し、分娩ストレス状態との関連性を検証した. 【方法】研究協力施設での倫理委員会の承認と母親とその家族の同意を得たうえで研究を遂行した.調査期間は2012年9月から2012年12月.あらかじめ妊娠中期の母親学級にて早期母子接触方法について説明し、カンガルーケア(以下;BKC)実施への理解と同意を得た.研究対象の条件は、正期産で出生し、出生後1分のアプガースコア8点以上、臍帯血液ガス値にアシドーシスのないこと、母親の分娩後の身体状態・子宮復古状態が正常であること、母親と家族に対しBKC実施の希望があることを基準とした.研究参加した母子は52組であった.児の体温測定(深部体温、皮膚表面温度)にはテルモ社製CTM-205を用い、酸素飽和度測定にはベッドサイドモニタの持続計測を行った.分娩室室温は26℃とした. 【結果】BKC前の深部体温は36.6±0.4℃であり、測定所要時間60分間で横ばいで経過し、低体温を生じた児はいなかった.皮膚表面温度では、BKC前は36.2±0.78℃と低体温値を示し・四肢冷感が見られていたが、実施後10分で36.6℃を超え、低体温は回避された.BKC実施中、呼吸・心拍数に異常なく、酸素分圧90%以下になることなく、一般状態は良好に経過した.血糖値(分娩後30分、60分、120分)にも異常はなかった.分娩ストレス状態との関連性では、分娩所要時間と出生直後の児の皮膚表面体温との間に負の相関関係(p<0.05)を認めたが、BKC実施で低体温が回避された.BKC実施中の危険行為や一般状態の悪化なく、正常分娩においてBKCの実施は安全であることが生理学的指標から明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力施設への研究代表者の分娩場面の参加において、時間的制約と研究環境の調整関係から、出生直後の新生児の唾液中アミラーゼ濃度の測定を実施することができなかった.したがって、生理学的指標の時系列データ測定において、副交感神経系からの調査が実施できでいない.次年度への課題として、新生児の胎外生活適応へのデータを包括的に調査できるように、研究環境(保冷容器の管理、検体保管場所等)の調整を行い、さらに調査を進めていく.そして、さらに研究手法として大切である新生児への唾液採取方法と検体容器内の脱脂綿の扱い方において、危険性の回避について充分に検討していく.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、分娩直後から2時間の間に実施することが推奨されているカンガルーケア中の新生児の胎外生活適応状態について、科学的根拠から検証していった.平成25年度は、カンガルーケア実施中の母子相互作用を行動分析により、母子の心身反応と愛着行動の五感に基づく応答性を根拠とした、保温機能に充実したカンガルーケアの実施方法を検証していくことですすめていく. 本研究課題の目標は、分娩直後の早期母子接触中の母子のwell-beingな状態を維持できるエビデンスが保証されるガイドライン指針の作成につなげていくことである.
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次年度の研究費の使用計画 |
1.唾液アミラーゼモニター CM-2.1 80千円 2.ワイヤレス体温測器(腋下用 肛門用) A&D Medical TM-2560G-10 150千円 3.体温プローブ 50個 300千円 4.デジタルビデオカメラ Panasonic 100千円 それ以外に、母子接触場面の画像撮影に使用するメディア媒体、研究協力施設までの交通費等に研究費を使用する.また、平成24年度の研究成果について、学会発表予定である.
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