研究課題/領域番号 |
24593406
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
立岡 弓子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70305499)
|
研究分担者 |
高橋 真理 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (20216758)
香取 洋子 北里大学, 看護学部, 准教授 (90276171)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 早期母子接触 / 出産ストレス / 行動分析 / ストレス関連ホルモン |
研究実績の概要 |
分娩後2時間以内早期母子接触行動時の母児のストレス応答について、生理学的指標と母児の行動観察から検証した。母児の二者関係行動を日本語版Assessment of Mother-Infant Sensitivity Scaleを使用し、出生直後から30分間の動画データから分析を行った。母親行動では気分・口調・話しかけの内容・視覚的相互作用・児への刺激を、新生児行動では気分と視覚的行動を分析した。生理学的指標には精神的ストレス指標であるクロモグラニンA(以下CgA)を測定した。新生児の視覚行動では、母親を探し微笑んだり見つめ合うアイコンタクトをとっていた新生児でCgAが低く精神的ストレスが低かった。新生児の気分では、母親の胸のなかで易刺激性行動がみられた母親のCgAが高濃度であり、頻回に身体反応が現れる新生児に精神的ストレス反応が生じていた。母親の口調では、新生児に軽く叱る口調であった母親でCgA濃度が高濃度であった。母親が話す内容では、新生児に批判的な言動が見られた母親で分娩後120分CgAが高濃度であった。視覚的相互作用では、母親の視線を受けた新生児でCgA濃度が低く、新生児と視線を合わさない母親で高濃度であった。新生児へのネガティブな発言や反応のない母親で精神的ストレスが高いこと、母親からアイコンタクトやスキンシップを受けている新生児は、精神的ストレスが低い状態にあることが、CgAを根拠に示された。 推奨されている早期母子接触を実施するに当たり、単に胸に抱かせるのでなく母親に児へのアイコンタクトやスキンシップを促していくこと、言葉使いや否定的言動に注意すること、新生児が母親の胸の上で安定した体勢が取れるようにポジショニングの援助が精神的ストレスを軽減するために必要であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力施設が大学病院であり、早期母子接触が可能な正常な分娩や健康な新生児の出産症例数が少なく、また分娩室環境によっても、研究調査を行える時間帯が限られていることで、症例数が伸び悩んでいる。健康な新生児が出生し、産後の母体の回復に問題がなければ、生後2時間でのバイタルサインや血糖値、酸素飽和度等の身体状況を調査し、愛着行動評価では、今後は哺乳探索行動についても調査することを、今後の目標として研究協力体制をあらためて整えていく。現時点では、早期母子接触という分娩後の母子ケアについて、早期新生児の低体温や低酸素状態が正確に評価され安全性が確保されていることを提示する研究成果と母児の行動分析からみた愛着行動からの詳細な分析については症例数が30例ほどと、少ない状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
正常分娩を多く扱う施設を研究協力施設として新たに開拓する。併せて、時間的に不定期な分娩に対応すべく、研究協力者として臨床経験が豊富である臼井康恵助産師を追加し、研究最終年度としての集大成の研究を遂行していく体制がとれるメンバー編成を行った。 分娩後2時間以内の母児にみられる行動分析と愛着行動、精神的ストレス反応について対象数を増やしながら詳細に分析をすすめ、早期母子接触時の5感を通じた母子関係の有効性を併せたガイドラインの指針の作成にむけて本研究を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、早期母子接触時の哺乳探索行動時の調査に必要は血流計ソフトの購入をした。金額が当初の予定よりも多かったため、深部サーモセンサーの購入を考え次年度に繰り越しをした。
|
次年度使用額の使用計画 |
深部サーモセンサーと唾液アミラーゼモニターの購入を行う。
|