研究課題/領域番号 |
24593407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
齋藤 益子 東邦大学, 看護学部, 教授 (30289962)
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研究分担者 |
濱嵜 真由美 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (90352335)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 助産診断 / 妊婦健診 / 助産外来 |
研究概要 |
研究者らは妊産婦に対するアセスメントガイドとして「マタニティ診断」を開発し、2004年にマタニティ診断ガイドブックを発行した。本研究では、産科医との共通言語として助産診断名を活用するために、マタニティ診断の妊娠期の経過診断名の診断指標49項目の使用状況を検討した。【方法】都内近県に勤務する助産師外来を実施している産科施設に勤務する助産師と医師を対象に、妊娠期の経過診断22診断名の49診断指標について、その活用状況を「よく使用する」から「全く使用しない」の4件法で調査した。助産師34名、医師16名から回答を得た。本研究は大学の倫理審査委員会の承認を受けて実施した。【結果】49の診断指標の中で、医師、助産師共に高い使用率(70%以上)を示した指標は、妊娠の診断では「尿検査で妊娠反応が確認できる」、「超音波画像で子宮内に胎嚢、胎児が確認できる」、「超音波画像で胎児心拍動が確認できる」の3項目、妊娠週数に応じた変化では「性器出血がみられない」の項目、胎位の診断では「超音波画像による胎位の診断」の項目、胎児発育状態では「超音波画像により胎児の測定値が妊娠週数に相当している」の項目、胎児の健康状態では「胎児心拍数が110-160bpmである」「胎児心拍のリズムが整調である」「胎児心拍陣痛図は良好なサインを示している」の項目、胎児付属物では「羊水所見が正常範囲である」「超音波画像・胎児心拍陣痛図では胎盤機能は正常である」の項目で、全13項目(27%)であった。一方、母体の身体的変化に関する指標6項目は、助産師は64-97%、医師は18-68%の使用率であった。医師は、診断指標として超音波診断や胎児心拍など胎児の診断を重視する傾向にあり、助産師は体重・尿蛋白・浮腫・Hb値、胎動、腹部触診など母体の心身の診断を重視しており、妊婦健診での両者の関りの相違がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の調査においては、協力してくれる医師・助産師からの回収が少なかったが、診断指標の理解しにくい表現などが明確になったので、これらの診断指標を見直し、25年度に見直した指標について対象を拡大して追加調査する予定である。特に医師の回答が少なかったので、医師への面接調査を行い、少ない分をカバーできるようにする。25年度は医師・助産師共に全国レベルの調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
見直した診断指標を用いて新たな質問紙を作成して、全国の助産外来を実施している施設の助産師を対象に使用状況を調査し、診断指標の有用性を明確にする。また、使用されていない施設においては、助産外来でのアセスメントと記録の方法を聞き、医師との共通理解のためにどのようなことばや診断名を使用しているのかを調査し、分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、予定した数の被験者が得られず、謝礼に充てていた分の未使用額が生じた。そのため、質問紙の処理を依頼する予定の謝礼分も未使用になった。さらに、データの分析に使用予定のパソコンの購入をしなかった。 25年度は、調査分析用のパソコンとソフトを購入し、調査に必要な切手、封筒や質問紙の印刷代などの諸費用。調査表の作成や郵送の準備、データの入力をしてくれる研究協力者への謝礼。成果を発表すための国内外の交通費や学会への参加費用、情報収集のための交通費などを予定している。
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