研究課題/領域番号 |
24593410
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
谷津 裕子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (90339771)
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キーワード | 出産イメージ / 20代女性 / 少子社会 / リプロダクティブ・ヘルス |
研究概要 |
本研究の目的は、わが国の20代女性が出産に対してどのようなイメージをもち、それがどのような過程で育まれてきたのかを、当事者への聞き取り調査と質的分析によって明らかにすることである。本研究を通して少子社会において20代女性が安心して妊娠・出産できる出産環境の創出に向けて必要な教育や医療、社会のあり方を提言することを目指す。 平成24年度は、研究倫理審査委員会での承認を得た上で当事者への聞き取り調査を行なった。具体的には、関東地方在住の20代の未婚女性33名を対象に半構成的面接を1人1回ずつ実施した。 平成25年度は、得られたデータの質的分析を行なった。その結果、20代女性の出産イメージを表す10の特徴が見出された;1.研究参加者の殆どは出産に対して《肯定的イメージ》と《否定的イメージ》の両方を併せもつ、2.殆どの研究参加者の出産イメージには広がりがみられる、3.《肯定的イメージ》ないし《否定的イメージ》を全くもたない研究参加者がわずかながら存在する、4.研究参加者の約半数は出産に対して現実味を感じていない、5.3人に1人の研究参加者が出産に対して〔痛いもの〕というイメージをもつもののそれが出産への忌避感に結び付いてはいない、6.《ジェンダー的イメージ》は出産を女性にとって望ましいものとする考え方とそうでない考え方に二分される、7.《時間的イメージ》は出産年齢を意識するものとキャリア形成との兼ね合いを意識するものに二分される、8.研究参加者の3人に1人は出産と仕事の両立は難しいというイメージをもつ、9.研究参加者の4人に1人は出産に対して負い目を感じさせるものというイメージをもつ、10.《対社会的理想イメージ》には社会に対する不満と期待が反映されている。 平成26年度は、本研究の結果を基に考察し、少子社会における出産環境の創出に向けた課題を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は出産イメージの多様性とその形成過程を明らかにすることにあるため、平成24年度は当初の計画通り質的データをmaximum variation sampling(多様性が最大になる標本抽出法)により収集した。その結果、情報量に豊むデータを入手することができ,平成25年度はそれらの分析を着実に進めた。連携研究者5名、研究協力者1名と共にteam codingを実施するにあたり、各研究者が行った解釈の妥当性を確認する、全てのコードの抽象度を揃えるといった巧緻な作業が必要となった。分析精度を高め、よりよい結果を生むには拙速すぎない作業工程が鍵となるため、おおむね妥当で順調な進捗状況であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究目的の達成に向け、平成25年度までに明らかにした結果を基に考察を進めていく。具体的には、研究結果と先行研究の知見とを比較検討し、少子社会において20代女性が安心して妊娠・出産できる出産環境の創出に向けて求められる教育や医療、社会のあり方を明確化していきたい。 平成26年度はまた、当該研究の成果を報告し、補助金事業の本来的目標である社会への還元を果たしていきたい。第40回日本看護研究学会学術集会で口頭発表を行なうほか、看護学系学会誌にて論文を発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、前年度に収集したデータを分析する作業に費やした。maximum variation sampling(多様性が最大限になる標本抽出法)により収集した質的データの情報量は多く、作業には時間と知的労力を要したものの、分析作業は研究班で手分けして行うことができたために人件費は発生せず、予定額よりも少ない執行となった。 平成26年度は、平成25年度に見出した本研究の結果について考察を進め、論文としてまとめて学会や学術誌にて発表する。平成26年度の助成金は、平成25年度の未使用分とともに、考察を進めるための文献費(複写費も含む)や学会参加費等に役立て、有効に活用させていただく予定である。
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