研究課題/領域番号 |
24593413
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
濱松 加寸子 常葉大学, 健康科学部, 教授 (20320997)
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キーワード | 早期家庭訪問 / 潜在助産師 / 助産師へのニーズ / 子育て中の母親 |
研究概要 |
平成25年度は、1)子育て中の母親の家庭訪問のニーズを明らかにする。2)潜在助産師の実態を把握し就業に関するニーズを明らかにする。3)早期家庭訪問のモデル事業が展開できる可能性を探る。ことを目的に調査活動を行った。1)では7名の母親にインタビューを行った。結果、訪問する時期はその人のニーズに合わせ、訪問者は母親との顔見知りの助産師であること。また、日中わが子とのかかわりのみで社会との関係が閉ざされがちな母親の話し相手としても助産師への期待が高かった。入院中に訪問する担当者と紹介を済ませ、「○○助産師が今後私のことを見守ってくれる」という安心感を抱き、育児が行えるためにも、この研究の重要性を再確認できた。 目標2)については昨年同様の調査を実施した。昨年潜在助産師は20名と予想以上に少ないため再調査を実施したが、ほぼ同じ結果を得た。本調査での潜在助産師の定義は在宅にいて就業していない助産師。従って、助産師の資格を持ちながら保健師や看護師として医療機関・行政・企業等、正規・非常勤・パート等就業している人を含まないとしたためこのような結果になったと考えられる。しかし、新生児家庭訪問には7割以上の人が関心を持っていた。理由としては、「助産師の専門性を活かせる」「自分の子育て経験を活かせる」などであった。就労形態としては正規職員の希望は低く、パートやアルバイトが半数以上を占めていた。 目標3)は、連携研究者が所属する医療機関(B)と、その地域の助産師会の協力を得て、平成26年度に早期家庭訪問事業が展開できる可能性が高くなった。開業助産師5名の承諾を得て、B病院での研修および日本助産師会主催の家庭訪問事業に向けての研修に参加予定である。研修終了後、分娩入院中の母親が家庭訪問を希望した場合、入院中に助産師との顔合わせを済ませ、病院より母親の情報を得て訪問することの計画が具体化されてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標1)から母親の助産師に対するニーズがあることが明らかになった。目標2)において、潜在助産師の掘り起こしが困難であることが明らかになった。 以上のことから早期家庭訪問事業に潜在助産師を活用することは、本調査期間では不可能であることが判明した。その結果、現在、行政から委託され新生児家庭訪問を実践している開業助産師による、早期家庭訪問事業の可能性を検討したのが目標3)である。連携協力者が所属する医療機関の代表者と、その地域の助産師会保健指導部会代表者へ、研究の趣旨を説明し協力を得ることができ、モデル事業が展開できる可能性が高まった。したがって、研究はおおかた順調に進行していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年である平成26年度は、早期家庭訪問のモデル事業を展開する。開業助産師は事業に協力する医療機関での研修を行い、当該施設の母子ケアの実際を把握し、病棟スタッフと訪問時の支援内容についてコンセンサスを得る。その後、希望する母親に家庭訪問を実施する。5名の助産師で担当し20件ほどの訪問実績をあげた後評価をだし、行政の事業へと繋げていくよう働きかける。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はインタビューやアンケート調査に終わり、早期家庭訪問事業を実施することができなかった。それは潜在助産師の掘り起こしが予想以上に困難でありマンパワーとして確保することができなかったからである。 次年度平成26年度は早期家庭訪問事業の実施が可能となった。開業助産師の研修費用や訪問事業への謝礼が必要である。また、ニュージーランドで実施されている地域での母子ケアの実際を視察し、データ分析に役立てる予定のため海外調査費用が必要となる。
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