研究課題/領域番号 |
24593417
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
真野 祥子 摂南大学, 看護学部, 准教授 (90347625)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 虐待 / 認知 / 注意欠陥多動性障害 |
研究概要 |
申請者の研究から、注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)児の母親は、子どもの行動をネガティブと評価する認知の仕方に個人差があることが示唆されている。虐待の危険因子として認知の歪みが指摘されているが、実際、ADHD児は虐待を受けるリスクが高い。本研究は、ADHD児の母親の子どもの行動に対する認知に着目し、虐待発生のメカニズムをモデル化し、その結果をもとに援助方法を検討することを目的としている。 平成24年度は以下のことに取り組んだ。まず、子どもの行動に対する母親の認知に関する先行研究、母親の認知と虐待行為との関連についての先行研究、虐待行為が発生しやすい母子間のやりとり(状況)に関する先行研究を整理した。そして、これらの結果をもとに、ADHD児の行動に対する母親の認知の枠組みの様相を探るためのインタビュー調査を2パターン行うこととした。1つはイラストを用いたインタビューである。母親の虐待行為は、子どもの反抗的な行動が端緒になっており、特に食事や睡眠などの日常生活場面で母親は衝動的感情を抱きやすいことが考えられた。そこで、これらの状況を加味した場面を設定してイラストに表現し、状況の説明文とイラストを用いてインタビューを行う。もう1つは、育児上の困難について尋ね、ADHD児の母親に特徴的な子どもの行動の認知の仕方を明らかにするための半構成的インタビューを行う。これらをもって本学の倫理委員会に申請し受理され、現在、インタビューを実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定に従って、子どもの行動に対する認知の様相を探るために自由記述式アンケートを実施したが、得られたデータをみてみると詳細な内容は読み取りにくいことが分かった。そこでインタビュー法に変更したことにより、タイムスケジュールより若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、10名を目安にインタビューを実施した後、逐語録を作成してデータ分析を行う。子どもがADHDと診断を受けるのは、集団行動を求められる幼児期から学童期の頃が多いことから、インタビューの対象者は幼児、学童の母親とする。既に研究協力への承諾を得た被験者も存在するが、今後、研究協力者や発達障害児関係の自助グループに被験者の紹介を依頼していく。ADHD児はクラスに約1名の割合で存在するが、既に診断を受け、なお且つ研究協力が得られる母親となると近県だけでは予定期間内にデータ収集を完了することが困難であることも考えられる。よってフィールド開拓は他県も考慮する。具体的には、知り合いの関係者に母親や親の会等を紹介してもらう、学会等で研究協力者を増やしていく等の方策をとる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規フィールド開拓、発達障害に関する最新の知見を入手するため、学会等に参加する。インタビューを行う場所としては、基本的には被験者の都合に合わせて設定するが、候補としては被験者の自宅近くの会議室を予定している。それに伴い施設までの交通費や謝礼、会議室利用料が発生する。インタビューデータの逐語録を作成する際、情報漏洩防止・プライバシー確保のためインターネットにつながっていないパソコンで実施する。また、本研究で提案する虐待発生のモデルの妥当性を高め一般化につなげるため、インタビューデータの定性的分析に加え定量的分析も行う。質的データは何らかの量的データを含んでおり、両手法併用の有効性が述べられている。その際、統計ソフトを用いる。
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