研究課題/領域番号 |
24593419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
西村 明子 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20324783)
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研究分担者 |
石原 あや 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20290364)
藤田 優一 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (20511075)
大橋 一友 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30203897)
勝田 真由美 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (70514909)
末原 紀美代 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (90112044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 産後うつ病 / 父親 / 健診 |
研究概要 |
これまで父親の産後うつ病はほとんど注目されてこなかったが、2005年にRamchandaniらが、父親の産後うつ病が子どもの発達に悪影響を及ぼすことを報告して以来 、父親の産後うつ病に関する研究が積み重ねられてきている。2万人の親子を対象とした米国の大規模縦断調査においても父親のうつ病が子どもの発達に悪影響を及ぼすことが確認されている (Weitzman, 2011)。父親の産後1年までのうつ状態の有病率は約10%であり、産後3か月から6か月が25.6%と最も多いと報告されているが (Paulson et. al., 2010) 、対象者数が少ないことや測定方法が統一されていない等の問題が指摘されており、さらなる調査が期待されている。 本研究の目的は、父親の産後うつ病の早期発見と予防、うつ病のセルフケア能力の獲得を目的に、産後の健診プログラムを開発・実施し、プログラムの妥当性とその効果を検証することである。我々は、産後1か月の父親のうつ状態の関連要因が、望まない妊娠、精神的な問題での医療機関受診歴、不安定な雇用状態、服薬している、親との離別経験、パートナーが妊娠中の父親自身のうつ状態であることを明らかにしたが、産後1か月間はパートナーが実家に帰省するなど、子どもとパートナーとの新しい生活が開始していない者も多い。そのため、生後4か月の乳児の父親のうつ状態の関連要因を明らかにすることを目的に大規模調査を実施した。 平成25年1月から4月の期間に、生後4か月健診を受診する乳児の父親と母親1980組に依頼文と調査票を配布し、現在までの回収数は、父親740名、母親849名、父親と母親の両方からの回収数は735組(回収率37.1%)である。今後、データの回収が終了次第、分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、父親の産後うつ病の早期発見と予防、うつ病のセルフケア能力の獲得を目的に、産後の健診プログラムを開発・実施し、プログラムの妥当性とその効果を検証することである。当初の計画では、産後の父親の精神健康状態や育児・夫婦関係などについての不安や悩みを明らかにすることを目的に、産後1か月と3か月の父親を対象にインタビューを行う予定であった。しかし、産後3か月の父親のうつ病の有病率や関連要因が明らかになっていないため、生後4か月健診を利用して産後4か月の父親と母親1980組を対象に調査を実施した。調査表の回収率は現時点で約3割であり今後さらに増加することを考慮すると精度の高い分析結果が得られると考えている。この調査の分析結果をもとに、産後の健診プログラムを立案する予定であり、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に、産後4か月の父親と母親1980名を対象に質問紙調査を実施し、平成25年5月中旬に調査票の回収が終了する予定である。データが揃い次第分析を開始し、産後4か月の父親のうつ状態の関連要因を明らかにする。次に、産後4か月の父親にインタビューを行い、パートナーとの関係や育児等で困難に感じたことや悩み、その対応と結果について明らかにする。インタビューの分析結果とこれまでに我々が明らかにした産後1か月と4か月の父親のうつ状態の関連要因を合わせて検討し、父親の産後うつ病についての教育用リーフレットを作成する。我々の目的は、父親の産後うつ病の早期発見と予防、うつ病のセルフケア能力の獲得を目的に、産後の健診プログラムを開発・実施し、プログラムの妥当性とその効果を検証することである。そのため、作成したリーフレットを用いて産後1か月の父親に父親の産後うつ病についての集団教育を実施し、リーフレットを配布しただけの群と従来どおり何も実施しない群の3群で産後4か月のうつ状態を比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた理由は、研究デザインの変更による。当初の計画では産後1か月と3か月の父親にインタビューを実施し、産後の父親の精神健康状態や育児・夫婦関係等についての不安や悩みを明らかにする予定であった。しかし、我々の先行研究により産後1か月の父親の産後うつ状態の危険因子は明らかとなっているが、産後3か月については先行研究においても関連要因が十分明らかになっていない。そこで、産後4か月の父親のうつ状態の関連要因を明らかにすることを目的に大規模横断調査を実施することに変更した。そのため購入を予定していた録音機器や分析ソフト、対象者への謝礼が不要となり、質問紙調査の郵送費が必要となった。また調査票は印刷業者に依頼しなかったため低額で収まり繰り越し金が生じた。 平成25年度は、大規模調査により得られたデータの入力を外部業者に委託する予算に加え、当初予定していたインタビューを実施するための予算が必要である。また、録音したインタビュー内容は外部業者に依頼し、逐語録にする予定である。
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