研究課題/領域番号 |
24593419
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
西村 明子 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20324783)
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研究分担者 |
石原 あや 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20290364)
藤田 優一 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (20511075)
大橋 一友 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30203897)
勝田 真由美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (70514909)
末原 紀美代 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (90112044)
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キーワード | うつ病 / 父親 / 夫婦関係 |
研究概要 |
父親のうつ状態と子どもの発達との関連が注目されており、2万人の親子を対象とした米国の大規模縦断調査により、父親のうつ病が子どもの発達に負の影響を及ぼすことが確認されている。また、うつ状態の父親は1歳未満の子どもへの躾として平手で叩くことが多いことが報告された。Paulsonらは、妊娠期から生後1年までの父親のうつ状態率は10.4%であり、産後3~6か月が25.6%と最も高いことを報告した。日本の虐待死亡例のほとんどが産後4か月までに生じている。しかし、これまでの父親のうつ状態に関する研究のほとんどが小規模研究であり、産後うつ状態を測定する方法にも統一性がない。そこで、父親のうつ状態の有病率が最も高く、子ども虐待のリスクが高まる産後4か月に大規模調査を行い、1. 父親と母親のうつ状態の有病率、2. 父親のうつ状態の関連要因、3. うつ状態の父親の対児感情を明らかした。 対象と方法:生後4か月児の父親と母親2032組を対象に2013年1月~4月の期間に自己記入式質問紙調査を行った。調査項目は、エジンバラ産後うつ病自己調査票 (EPDS)、夫婦関係満足尺度、対児感情尺度、属性、健康状態、心理・精神的問題、仕事のストレス、妊娠・出産・育児に関する情報とした。父親907名(44.6%)、母親1036名(51.0%)から回答を得た。そのうち、夫婦ともにEPDSに回答した867組(42.7%)を分析対象とした。 結果:14.9%の父親、10.6%の母親がうつ状態であり、5人に1人の乳児がうつ状態の親に養育されていた。父親のうつ状態の関連要因は、心の問題で医療機関を受診した経験がある 、夫婦関係の満足度が低い 、経済的な不安がある、不妊治療による妊娠 、パートナーがうつ状態、仕事のストレスであった。また、うつ状態の父親はそうでない父親と比べて子どもへの否定的感情が強かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
父親の産後うつ病に関する研究は我が国ではほとんどされておらず、国外においても大規模調査は極めて少ない。うつ病は子どもの発達に悪影響を及ぼすことから、予防と早期発見による改善が重要である。本研究では、産後4か月の父親と母親を対象に約2000組を対象とした大規模調査を実施し、父親と母親のうつ状態の有病率と関連要因を明らかにした。その結果、5人に1人の乳児がうつ状態の親に養育されており、夫婦を対象にした産後うつ状態の予防は急務であることが判明した。また、うつ状態の原因として一般的な要因の他に夫婦関係の悪さが明らかとなった。本研究課題は、父親と母親の産後うつ病の統合プログラムの作成を目的としており、関連要因について明らかにできたことで、予防方法を考案する根拠を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
産後うつ状態の有病率が最も高い産後3~4か月のうつ状態の関連要因について、さらに詳細な情報を得ることを目的に、大規模調査で明らかにした内容をふまえて、産後1か月と4か月の父親にインタビューを行う。それをもとに妊娠期からの教育的支援の方法を考案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度にインタビュー調査を開始する予定であったが、大規模調査のデータ入力において入力会社にミスがあり、大幅に修正が必要となったため時間を要した。そのため、計画がやや遅れており次年度使用額が生じた。 平成26年度5月よりインタビュー調査を開始する予定であり、旅費および謝金で使用する予定である。
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