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2012 年度 実施状況報告書

アロマセラピーに用いる精油の神経細胞への作用機序と看護援助への有効性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24593423
研究種目

基盤研究(C)

研究機関福山平成大学

研究代表者

四宮 美佐恵  福山平成大学, 看護学部, 教授 (80215996)

研究分担者 加納 良男  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70116200)
津間 文子  福山平成大学, 看護学部, 講師 (30572987)
北村 万由美  福山平成大学, 看護学部, 講師 (90521815)
神保 太樹  昭和大学, 医学部, その他 (60601317)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードPC12m3細胞 / 精油 / アロマセラピー / 神経細胞
研究概要

アロマセラピーに用いられる精油の神経細胞への作用機序を解明することが本研究の目的である。そのために、PC12細胞から神経を活性化する成分を探索するために開発されたPC12m3細胞を用いた。PC12m3細胞は、ある種の化学物質やストレスに高い感受性を示す突然変異細胞である。研究に用いた精油はオレンジスイート(Citrus sinensis)、オレンジビター( Citrus aurantium)とオレンジの主成分であるリモネン(p-mentha-1.8-dinen)である。これらの精油による細胞の反応として神経突起の伸長とアポトーシス(細胞死)、それにそれらの細胞反応が起こるための細胞内シグナル伝達経路の活性化について調査した。さらに、臨床応用として精油の月経随伴症状に対する有用性を検討した。その結果以下のことが明らかとなった。1.オレンジと リモネンはPC12m3細胞を活性化して神経突起の伸長に働いた。また、リモネンはNGFが存在する状態でPC12親細胞とPC12m3細胞を共に活性化して神経突起の伸長に働いた。2.オレンジスイートは細胞毒性がないが、オレンジビターは細胞毒性があった。3.PC12m3細胞では、リモネンによってERKとp38MAPKの活性化がみられた。4.精油は随伴症状と痛みの軽減に効果がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.精油誘導性神経突起形成およびp38MAPK阻害剤の効果
PC12m3細胞をオレンジ精油処理すると神経細胞分化が誘導された。NGFは、PC12m3細胞の神経突起形成をほんのわずかに誘導したに過ぎなかった。オレンジ精油により誘導されたPC12m3細胞の神経突起形成頻度は、未処理対照細胞の神経突起形成頻度よりも7.8倍多かった。オレンジ精油の主成分であるリモネンでPC12m3細胞を処理すると神経突起形成はNGFの存在下で大きく増強された。
2.精油の細胞毒性
オレンジビター精油とオレンジスィート精油の細胞毒性をトリパンブルー染色を使用して調べた。生細胞は生細胞数はオレンジスィート精油処理の場合は対照の25.1%であり、オレンジビター精油の場合は対照の13.1%であり後者の方が細胞分化による細胞増殖をより強力に抑制した。オレンジ精油は細胞毒性を有していなかった。
3.精油による3種類のMAPキナーぜの活性化
オレンジ精油の主成分であるリモネンの神経突起誘導作用は、PC12m3細胞のp38MAPK経路により媒介された。ERKの活性化は、PC12細胞の神経細胞分化に重要な役割を果たしていることが示唆された。PC12m3 細胞におけるERK、p38MAPKおよびJNKを含む3つのMAPK経路のリモネン誘導性活性化を調べた。PC12m3 細胞のp38MAPKはリモネンに強力に活性化された。その一方で、リモネンにより誘導された神経突起形成は、特異的p38MAPK阻害剤であるSB203580により阻害された。これらの結果は、PC12m3細胞のリモネン誘導性神経突起形成には、p38MAPKの活性化が必要であることが示唆された。

今後の研究の推進方策

1.動物実験によりストレスを受けたマウスの皮膚に精油を塗りその後セロトニン等の神経伝達物質の変化をみることでストレス軽減に働く嗅覚を介した脳内シグナル伝達経路を調べる。2.更年期の女性を対象に、精油を用いてアロママッサージを行い、更年期症状の緩和とリラクゼーションをはかる。その後にセルフケアを指導し、1か月後、うつ状態の鑑別に自己評価抑うつ尺度SDS(self-rating depression scale)、更年期障害の程度を把握するためにクッパーマン指数、痛みを評価するためにVAS(Visual Analog Scale)、心理検査は、幸福感、親しみ、頭の冴え、疲労感、やる気、眠気を評価するためにPOMS(Profile of Mood States)(感情プロファイル)を用いてその効果を検討する。3.緩和ケアにおいて、がん患者へのアマセラピーの介入を行う。告知に始まる一連の診療・加療後の心身ともにストレス下にある患者に対し、アロママッサージを施行し、それによる感情の起伏・推移をPOMS(Profile of Mood States)(感情プロファイル)、痛みの測定・評価としてMPQ(Magill Pain Questionnaire)を用いて効果を検証する。4.子育て中の母子を対象にアロママッサージ、ベビーマッサージを施行する。効果を測定するために、唾液中コルチゾールの測定と、育児ストレスレベルの評価には、日本版PSI(Parenting Stress Index)の短縮版である「育児ストレスショートフォーム(PS-SF)を用いて効果を検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度以降
1.消耗品:アロマセラピーを実施するための精油約60種類とキャリアオイルが必要である。
2.旅費:各施設に出張し、調査を行う為とアロマセラピー学会、母性衛生学会等で研究成果を発表するため旅費が必要である。
3.謝金:研究成果公表のために英文学術誌に投稿する予定である。英文校閲のために謝金が必要である。また、平成25年度には臨床で看護介入を行うので、被験者に対して研究協力謝金を支払う。
4.印刷費:英文学術誌等の論文別刷代として印刷費が必要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Neurite Outgrowth of PC12 Mutant Cells Induced by Orange Oil and2012

    • 著者名/発表者名
      Misae Shinomiya, Kenji Kawamura, Emiko Tanida, Megumi Nagoshi Hirotoshi Motoda, Yoshiko Kasanami, Fukumi Hiragami, and Yoshio Kano
    • 雑誌名

      Acta Medica Okayama

      巻: 66(2) ページ: 111-118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アロマテラピーに用いる精油の神経細胞への作用機序の解明2012

    • 著者名/発表者名
      四宮美佐恵
    • 雑誌名

      看護・保健科学研究誌

      巻: 12(1) ページ: 87-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 月経随伴症状に対するアロマテラピーの効果の検証2012

    • 著者名/発表者名
      四宮美佐恵,上野愛香,岡田優子,高田のり子
    • 雑誌名

      インターナショナルNursing Care Reserch

      巻: 11(1) ページ: 61-71

    • 査読あり
  • [学会発表] Elucidation of the Action Mechanism of Oil Used Aromatherapy on Neurons2012

    • 著者名/発表者名
      Misae Shinomiya,Fumiko Tuma,Takayo Kimiya,Megumi Nagoshi,Daiki Jinbo,Yosio Kanou
    • 学会等名
      The 1st International Congress of Aromatherapy
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      20120831-20120902

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公開日: 2014-07-24   更新日: 2021-12-20  

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