研究課題/領域番号 |
24593424
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐伯 和子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20264541)
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研究分担者 |
平野 美千代 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (50466447)
本田 光 北海道大学, その他の研究科, 助教 (80581967)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保健師 / キャリア発達 / 専門職務能力 / 職務満足 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度の作成した「保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発」に関する調査票の配布回収を行い、結果の分析と公表を行った。 調査票の配布は最終的には1,701部で、回収は974部(回収率57.2%)、有効回答953部(有効回答率56.0%)であった。対象の概要は、性別では女性98.8%、年齢の平均は41.6歳、保健師従事年数の平均は17.7年で、1-5年目18.9%、6-10年目13.1%、11-20年目27.2%、21年以上40.8%であった。所属自治体は、都道府県29.2%、指定都市・中核市等31.2%、市区町村39.7%であった。職位は、一般職52.3%、係長級43.9%、課長補佐以上3.7%であり、教育背景は、養成所53.0%、短期大学15.5%、大学31.5%であった。有配偶者は69.3%、育児経験は61.6%がありと回答していた。 仕事への満足(職務満足)と職場満足は、満足に対して「そう思う」から「そう思わない」までを、5件法で尋ねた。職務満足は、そう思うから順に、6.1%、30.5%、39.1%、16.4%、7.9%であり、職場満足は同様に、8.5%、32.4%、35.6%、14.2%、9.3%であった。2つの満足は保健師経験21年以上の群で有意に高かった。 また、昨年度調査を行った北海道地域での結果を2001年の調査結果と比較するために、倫理委員会に比較に関する申請を行い、参加者の了承の手続きを行った。その結果、2001年データとの比較では、1-5年目群、6-10年目群、11-20年目群では対人支援能力の自己評価の低下が認められた。また、21年以上群では地域支援及び管理能力において、自己評価は上昇が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次調査に引き続き、本調査を行いデータのクリーニングを終了し、一部のデータ分析を行い、結果を公表している段階である。本調査の有効回答率は56%であり、全国調査としては信頼性を確保できる回答率であり、有効回答数も統計解析を行うには十分なデータ量である。 一次調査結果の一部を、「保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発に向けた予備調査」として日本地域看護学会で発表し、尺度案60項目に対し天井効果とフロア効果の確認を行い、相関分析を行った。共同研究者間で項目の内容を確認し、9項目を削除した。因子分析は51項目を用いて実施した。因子数はスクリープロット基準により3因子に設定し、重み付けのない最小2乗法を用い、プロマックス回転を行った。項目の選定は因子負荷量が0.4以上であることを条件とした。因子分析の結果、この尺度は内的整合性を有する3つの下位尺度で構成されることを明らかになった。 また、本調査の結果からは、保健師の分散配置が進行した2014年現在での保健師の職務満足の実態とその関連要因についての分析が進んでいる。 さらには、2001年時点の保健師の専門職務遂行能力との比較を一部行っている。専門職務遂行能力は経験年数群別に比較し、10年余りにおける地域保健活動の背景の変化を考慮して分析する必要がある。 調査結果の分析とその一部の公表が進んでいる段階であり、「保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発」に向けて順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は研究最終年であり、「保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発」の目的達成のために簡便で有用性の高い総合的な保健師のキャリア発達を測定できる尺度を完成させる。 1.北海道調査結果の2001年データと2013.14年データとの比較分析の結果を論文としてまとめ、自己評価の低下の背景を考察する。虐待事例や災害などの健康危機管理がより日常的な活動となり、一方では政策能力を求められる時代において、保健師の実践能力形成における課題を今日的視点で検討していきたい。 2.「保健師の総合的なキャリア発達尺度の開発」に向けては、本調査結果の分析が進行中である。本調査結果についても、予備調査と同様に、天井効果とフロア効果の確認を行い、相関分析を行い、さらに因子分析を予定している。最終的な尺度に採用する項目の決定と下位尺度の解釈を行う。その後、尺度としての妥当性の検証が研究として必要である。また、これらの結果を学会で公表し、論文としてまとめ、投稿することまでが平成27年度の予定である。
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