研究課題/領域番号 |
24593426
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
末永 カツ子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70444015)
|
研究分担者 |
栗本 鮎美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00400276)
高橋 香子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80295386)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 被災地保健師 / エンパワメント / コミュニティ再生 |
研究概要 |
本研究の目的は、被災地保健師と研究者、地域の人々との協働のアクションリサーチによる復興への課題解決を図りながら被災地保健師のエンパワメントとコミュニティの再生を目指すことである。初年度の取り組みの具体的内容及び成果(意義)について、以下の1)2)3)の通りである。 1)文献検討の実施:被災地保健師等が著した文献検討を行い被災地保健師の大震災後の保健活動の内容と抱える課題を整理した。 2)インタビュー調査の実施:宮城県と福島県の沿岸部の18市町村と6保健所の保健師と仮設住宅等で暮らす住民(高齢者や障害者)を対象に実施した。この調査で得られたデータから実際の保健活動内容を経時的に整理するとともに、それぞれの特徴的活動や効果的であった活動や、東日本大震災における市町村・保健所保健師に共通の課題を整理した。この調査は、大震災から1年半経過しており記憶の風化を恐れながらも、互いに話し合う時間の確保できず、活動の記録を残せないでいる被災地保健師たちにとって、震災直後からの記憶を互いに確認し共有する場ともなった。高齢者や障害者からのデータからは、生活への見通しが立たないことへの「不安」「焦り」「やるせなさ」を抱えながらも、「以前からつながりのある友人との交流」「サロンへの参加」「新たな住民同士のつながり」を得ることにより、新たなコミュニティ再生に向けての日常を取りもどすプロセスにあることが理解でき、今後の課題として住民間のつながりを形成するための支援を求めていることの示唆を得ることができた。 3)ワークショップの開催:文献検討やインタビュー調査から把握できた課題を被災地保健師が互いに確認・共有するための参加型ワークショップを開催した。このワークショップでは、公衆衛生の原点に立ち返り災害時の保健活動の役割とあり方及び平時からの備えについて検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画は、コミュニティ再生に向けてニーズや課題を把握するために被災地保健師や住民を対象にインタビュー調査を実施することであった。そして、被災地保健師達が相互に情報交換を行う場を参加型のワークショップとして開催し、復興に向けた共通課題を明らかにし協働して課題解決していくための計画策定の準備をしていくことであったのでおおむね順調に実施できたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の取り組みとしては、被害状況が甚大で人口流出が進みハイリスクアプローチに追われているコミュニティ再生への大きなエネルギーがいる町を対象に健康を切り口とした地域づくり(ポピレーションアプローチ)を展開するために計画策定していく。具体的には、地域住民(保健推進員等)や保健師、研究者とでプロジェクトをつくり、保健師と住民と研究者との話し合いの場をつくりアクションリサーチへの動機づけを行い、初年度に引き続きインタビューや、ミーティングを重ね必要な研修会等を実施しながら、被災地保健師達が地域住民と協働して解決したいと考えるコミュニティ再生に向けての計画策定し可能なところから実施していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
|