研究課題/領域番号 |
24593426
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
末永 カツ子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70444015)
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研究分担者 |
栗本 鮎美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00400276)
高橋 香子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80295386)
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キーワード | 被災地保健師 / エンパワメント / コミュニティ再生 |
研究概要 |
25年度(2年目)の取り組みの具体的内容と成果は,以下の通りである。 1.被災地で活動する保健師と被災地住民を対象にインタビュー調査の実施:調査の対象は、被災地でポピレーションアプローチを実践している現役保健師、仮設住宅で被災者への健康相談支援事業(ハイリスクアプローチ)を実践している退職保健師、住民主体のサロン活動に参加している高齢者、セルフアドボカシー活動を実践している障害者である。これらの対象のインタビューデータから活動の特徴と実践活動の意義について整理した 2.被災地保健師によるエンパワメント活動の実践に向けての働きかけ:働きかけの対象は、初年度の調査で被害が甚大なため最もパワーレスな状態となっている被災地保健師とした。これらの保健師の抱える課題解決をしていくために、ひとり一人の保健師の関心やキャパシティアセスメントを行いながら、学習会やミーティングを実施し、住民と協働してのエンパワメント活動の動機づけを行っていった。この成果として、次年度に向けてエンパワメント活動を実践していくことの合意形成ができた。 1.を実施したこと、2.の被災地保健師と研究者との合意形成を図ったことの意義は、今後の取り組みとなるコミュニティ再生に向けてのエンパワメント活動の方向性と、地域住民と被災地保健師との協働に向けてのアプローチの方法等について大きな示唆を得ることができたことである。1.の取り組みからは、どのようなことを大切にして今後のアクションリサーチを行っていくのかということについて、2.の取り組みでは今後の活動の展開において、地域住民のどのようなキャパシティにターゲットを当てて側面支援を行っていくことが必要なのか、そして、26年度(3年目)のエンパワメント活動の展開方法と活動のテーマ等についての示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、被災地保健師と研究者、地域の人々とのアクションリサーチによる復興への課題解決を図りながら被災地保健師のエンパワメントとコミュニティ再生を目指すことである。 25年度(2年目)は、保健師と住民及び研究者との学習会やミーティングの場をつくり、保健師が抱える課題解決に向けての支援を行ってきた。これらの側面からの支援により、25年度の目標である地域住民と協働するエンパワメント活動への動機づけと合意形成ができ、26年度に予定しているコミュニティ再生に向けての実践活動を行っていく見通しをつけることができた。このことから、「研究の目的」の達成度は(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
26年度(3年目)の取り組みとしては、25年度に被災地保健師とエンパワメント活動への合意形成ができた町において、コミュニティ再生に向けてのアクションリサーチ(地域住民とともに行うエンパワメント活動の実践)を、24(初)年度、25年度(2年目)に引き続き、被災地での保健師や住民が参加する学習会やミーティング、参加型ワークショップ等を行いながら、被災地保健師、地域住民ともに実施していく。 26年度のエンパワメント活動のテーマ・課題は、被災地保健師の更なるエンパワメントとコミュニティ単位での住民との協働による健康づくり活動の展開である。まず、フィールドとする町の被災地住民の主体的な参加による町の健康づくり計画策定への動機づけと合意形成を行っていく。この過程において、被災地保健師や地域住民のキャパシティ・アセスメントや支援ニーズの把握し分析して行く。そして、次に、地域住民主体の地域毎の健康づくり計画の策定を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額であり、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度には、被災地保健師や地域住民との学習会やミーティング、参加型ワークショップ等を引き続き行っていくための開催費(報償費、会場費、旅費、資料印刷費を含む)や、ニーズ調査費(インタビューや記録のテープ起こし代、事務機器購入費を含む)、被災地に赴くための交通費(レンタカー代、旅費)等の経費に使用する予定である。また、これまでの研究成果を発表するための学会発表・参加費(旅費、英文翻訳校正費を含む)等に使用する予定である。
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