研究課題/領域番号 |
24593428
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096)
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研究分担者 |
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
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キーワード | 市町村保健師 / 都道府県型保健所 / 人材育成支援 / 専門能力獲得プロセス / 現任教育 |
研究概要 |
本研究は、行政保健師の専門能力の獲得プロセスを明らかにするとともに、現任教育体制を整えにくい市町村保健師の専門能力の獲得支援に向け、県型保健所による効果的かつ実践的な研修システムを開発することを目的としている。平成25年度は、主に全国の都道府県本庁及び県型保健所に対し、県型保健所による市町村保健師人材育成支援の実態調査を実施した。 本庁への調査は配布47、回収数32(回収率68.1%)。都道府県における保健師人材育成計画策定状況では、19(59.4%)が「新任期から管理期まで包括的に作成」しており、都道府県による集合研修の対象は新任期29、中堅期25、管理期24、プリセプター18であった。集合研修以外では、人材育成方法の情報提供・助言、人材育成の取り組み状況の情報収集、指導者として協力が多かった。県型保健所による市町村保健師人材育成のしくみでは、「都道府県で統一して保健所が市町村保健師人材育成を行う仕組みを作っている」15が最も多かった。 県型保健所への調査は配布数374、回収数110(回収率29.4%)。保健所による市町村人材育成支援の有無では、79(71.8%)が実施、人材育成のしくみでは、「都道府県で統一して保健所が市町村保健師人材育成を行う仕組みを作っている」38と最も多く、「仕組みはないが日常業務を通じて支援している」19であった。人材育成担当者は「いる」が61、人材育成組織は「ない」38が多かった。人材育成における他機関連携では「内容によって連携・協力」が47であった。管内の小規模町村の有無は「あり」31で、市町村規模による支援の違いは「あり」22であった。 現在、育成したい専門能力と人材育成支援の具体的内容について分析しており、保健師の専門能力ごとの効果的な人材育成方法を今後明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
都道府県本庁及び都道府県型保健所を対象とした保健所・市町村が連携した保健師人材育成の取り組みの現状把握のためのアンケート調査の実施により、都道府県及び県型保健所による市町村人材育成支援の実態と具体的な支援方法に関するデータを収集することができ、保健師に求められる専門能力を育成するための効果的な人材育成支援方法を明らかにするための基礎データが得られた。 アンケートをもとに、good practice事例を選定し、詳細な聞き取り調査を実施予定であったが、アンケート調査の実施・分析が遅れたことにより、その後のインタビュー調査の調整が遅れ、平成25年度の実施に至らなかった。その理由としてアンケート調査の実施時期の遅延及び調査票の回収に時間がかかったことが挙げられる。 現在調査データからgood practice事例を選定しており、平成26年度は当初からインタビュー調査を開始する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、調査より得られたデータからGood practice事例の選定を早急に行い、保健師専門能力育成のための具体的な取り組みについて、インタビュー調査を実施し、その成果をふまえて、県型保健所と市町村が連携した人材育成システム案を検討する。 上記のインタビュー調査と並行して、システム案を実践するためのフィールド(協力保健所・市町村)の調整と実施に向けた具体的な方法について検討していく。 フィールドについては、主任研究者及び分担研究者の所属機関の所在県である新潟県・群馬県を中心に今までの現任教育への関わり実績や関係性等も踏まえて、フィールドへの打診等を行っていくとともに、good practice事例への調査過程を通じて本研究への関心の高い保健所等との交渉可能性を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に都道府県本庁及び都道府県型保健所に対して実施したアンケート調査結果をもとに、全国の保健所のgood practice事例を選定し、調査を実施すると共に、その調査の分析を行うための旅費、分析補助者の雇用、テープ起こし等の経費に使用する予定であったが、研究実施の遅れにより、これらのインタビューを平成26年度に実施することになった。 平成26年度は、平成25年度に実施予定であった全国の都道府県型保健所のgood practice事例へのインタビュー調査、インタビューの分析にかかる調査旅費、分析補助者の雇用、テープ起こし等の経費、調査協力者への謝金、インタビュー調査先で使用するモバイル通信機の購入、調査の実施に必要な消耗品の購入等に使用する。 また、平成25年度に実施した調査結果について学会発表を行うとともに、その成果を一時成果としてまとめ、各都道府県、都道府県型保健所に公表する。それらのまとめにかかる研究補助者の雇用、学会参加旅費、郵送費、消耗品の購入等に使用する。今までの研究成果から保健師の専門能力育成のため研修システムの検討に関わる研究分担者との打ち合わせや、フィールドとの交渉等にかかる打ち合わせ旅費に使用する。
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