| 研究課題/領域番号 |
24593428
|
|---|
| 研究機関 | 新潟大学 |
|---|
研究代表者 |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096)
|
|---|
| 研究分担者 |
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 市町村保健師 / 都道府県型保健所 / 人材育成支援 / 専門能力獲得プロセス / 現任教育 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究は、質の高い地域看護活動を実践するための行政保健師の専門能力の獲得プロセスの明確化と、特に現任教育体制を整えにくい小規模町村保健師の専門能力獲得支援を行っていくための効果的かつ実践的な研修システムを開発することを目的としている。平成27年度は、都道府県型保健所が市町村保健師人材育成支援として特に重視していた「地域の健康課題の明確化と計画・立案能力」（能力1）、「個人・家族・集団・組織への支援能力」（能力2）および「専門的自律と継続的な質向上能力」（能力5）の育成支援を主な目的とした新任保健師研修プログラムを試行的に実施した。A県内の小規模町村を含む地域を管轄する1保健所の協力を得て4回コースの研修会を実施した。4回のうち3回を能力2、1回を能力1の育成を主たる目的とした内容とした。研修前に地域看護診断および個別事例への支援を題材にしたプロセスレコードの記載などの課題を課し、指導保健師からのOJTと研修会でのOff－JTを組みあわせて実施した。能力5は、研修に指導保健師、保健所の熟練保健師に参加を求め、新任保健師が所属内だけでなく他市町村・保健所の熟練保健師からの具体的な実践活動の助言を受けられるよう工夫し、世代間交流、市町村間交流を図ることで能力強化をねらった。研修参加者は3市1村の新採用保健師6名とその指導保健師6名、保健所保健師4名であった。研修会実施後に新任保健師および指導保健師、保健所保健師にそれぞれの能力向上に関する評価、研修のプロセスに関する評価と課題を聴取した。今回対象者の中に含まれた小規模町村保健師に対しては保健所保健師によるOJTの意図的な実施を試みたがそれぞれの業務多忙等により十分に機能させることが困難であった。現在それらの課題も含め、聴取した内容を分析し、研修の評価とプログラムの見直しを図る予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
都道府県型保健所を対象とした市町村保健師人材育成支援の取り組みに関する現状把握から得られた基礎データをもとに、都道府県型保健所で実施している人材育成支援の具体的支援方法とその意図、工夫等を取り入れた新任保健師研修プログラムを試行的に実施した。今年度は研修プログラムの協力機関を増やし、実践する予定であったが1保健所への試行的実施にとどまったこと、本研究で特に焦点を当てようとしている小規模市町村保健師の専門能力育成に関しては、対象とした町村が少なく個別の事情により研修プログラムの実践が困難な面もあったため、やや遅れていると評価した。平成28年度は、試行的な実践から得られた成果と課題をもとにプログラムを再検討するとともに、協力機関を増やし、研修プログラムの実践・評価を継続して行く予定である。
|
| 今後の研究の推進方策 |
現在蓄積しているデータをもとに特に新任期の人材育成研修プログラムに絞り作成を進めているがそれを補完・強化するデータ収集を進めるために、平成27年度に研修を実施した保健所・市町村の新任者・指導保健師に対するプログラム評価をさらに詳細にインタビューしていく。併せてgood practice事例へのインタビュー調査を追加するとともに、主任研究者および研究分担者と関係の深い新潟県・群馬県の県庁および保健所の人材育成支援担当の実践者にも協力を得て実現可能なプログラム作成に向けた助言を得ていく。
また、具体的な研修プログラムの実施を進めるためのフィールドに関しては、現在試行的に関わっている１保健所は継続実施の承諾を得ている。さらに特に小規模町村含む市町村を管轄する保健所にフィールドの協力依頼を行っているところである。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
研究進度の遅延により、予定していたgood practice事例へのインタビュー調査が予定した調査機関に実施できなかったこと、調査協力機関が新潟県内の１保健所に限定していたことから、調査・分析にかかる旅費、研究補助者の雇用等を予定通り支出できなかった。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
平成28年度はインタビュー調査等を実施した逐語録のテープ起こし、プログラムへの助言を受けるための他都道府県保健所への調査も予定しており、平成27年度の残額は、これらの調査の実施・分析の継続と研修プログラムの検討・評価のための打ち合わせ等に係る経費に使用する。
|
