研究課題/領域番号 |
24593430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
竹鼻 ゆかり 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30296545)
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研究分担者 |
高橋 浩之 千葉大学, 教育学部, 教授 (20197172)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インクルーシブ教育 / インクルージョン |
研究概要 |
本研究の最終目的は、教諭や養護教諭ならびに、通常学級の子どもを対象とし、慢性疾患の子どものインクルージョンを促進するための啓発教育プログラムを、開発・実践し、その効果を検証することである。 ①申請当初は、病気の子どもを受け入れるうえで必要となるSocial Capitalを明らかにすることを目的として、児童生徒150名程度に質問紙調査を行う予定であった。しかし国内外の文献を概観したところ、量的調査を行った先行研究はみあたらなかった。そこで平成24年度は、通常学級の子どもが、病気の子どもを受け入れるうえでどのような考えを持ち、行動するのかをインタビューにより探索的に明らかにすることを目的とした。そのため、子どもの頃に何らかの病気を持つ友達がいた大学生16名を対象とし、病気の友達を通じて得たその子どもや病気に対する考え、その後の考えの変化などについて半構造的面接を行った。その結果、小さい頃から病気や障害の子どもに触れる経験のあること、子どもたち同士をうまく交流させる大人の存在が、病気や障害の子どもと付き合ううえでのキー概念になることが示唆された。詳細については現在分析中である。 ②インクルーシブ教育を促進するため、教諭・養護教諭向けの教材を作成した。具体的には、ケースメソッド教育におけるケース・ブック集『ケースメソッド教育に活かす学校用ケース・ブック』を作成し、養護教諭や大学院生に対し、病気や障害をもつ子どもの理解を促すケースメソッド教育を行った。その結果、参加者からは、高評価を受けた。本ケース・ブックは、病気や障害の子どもの理解をテーマとした今までに類をみないケースメソッド教材であり、学校教育におけるインクルージョンを勧めるうえで、有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初より予算が減額されたことと、文献研究によって、平成24年度に予定していた量的調査を変更し、インタビューによる探索的調査に変更して実施した結果、量的調査の概念枠組みが明らかとなった。そのため、今後研究を遂行するうえでは、特に問題ないと判断する。 また、教材の作成という目的については、1年目にケース・ブックを作成したことは今後の研究の展開に期待できるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、通常学級の子ども(小学校高学年から高校生)における病気の子どもを理解するためのSocial Capitalの測定を実施する予定である。 そのため、平成24年度に行ったインタビュー結果に基づき、25年度には、一般校に通う子どもが、病気の子どもをどのようにとらえるかについての調査を作成し、研究協力の得られる学校において実施する予定である。 さらにそれを元に、通常学級の子どもに対する病気の子どもの啓発プログラムならびに教材の開発を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主として、調査票の作成ならびに郵送量、入力経費、謝金等に充てる予定である。 また、教材作成用ソフトならびに印刷費を予定している。
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