研究課題/領域番号 |
24593430
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
竹鼻 ゆかり 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30296545)
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研究分担者 |
高橋 浩之 千葉大学, 教育学部, 教授 (20197172)
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キーワード | 慢性疾患 / インクルージョン / ケースメソッド |
研究概要 |
本研究の最終目的は、教諭や養護教諭ならびに、通常学級の子どもを対象とし、慢性疾患の子どものインクルージョンを促進するための啓発プログラムを開発・実践し、その効果を検証することである。平成25年度には以下3点を実施した。 ①昨年度実施したインタビュー結果を元に、一般校に通う子どもが、病気の子どもをどのように捉えているのかについての調査を実施した。具体的には、高校生150名、中学生30名、小学生100名程度を対象とし、自由記述にて「病気になること」「病気の友達」に対しての考えを調査した。さらにその結果を元に、中学生600名程度に対し、自記式質問紙調査を実施した。子どもは病気になることを「怖い」「大変」と捉え、病気の友達に対しては「かわいそう」「何か助けてあげたい」などと捉えていることが明らかとなった。詳細は現在分析中である。 本研究によって、学校教育において子どもが、病気とともに生きることの意味を問い、病気や病気のある人を理解し必要な支援ができるような価値観や態度を育てるインクルーシブ教育の必要性について視座を得た。 ②教員が慢性疾患の子どもを理解し支援するためのプログラムの試案を作成した。プログラムは、講義と演習の2つから構成した。講義では、子どもの慢性疾患の概要、慢性疾患の子どもが学校生活を送る上で抱える困難、学校で必用な支援に関する内容を扱った。演習はケースメソッド教育を用い、慢性疾患の子どもとその保護者の心情を理解したうえで、学校でどのような支援をすべきかを考える演習内容とした。さらに数回の教員研修において本プログラムを実施し、内容を精選、修正した。 本プログラムは、教員が慢性疾患の子どもを理解し支援するための教材となることが示唆された。 ③院内学級に携わる教員4名を対象としたインタビューを実施し、病気の子どもの教育課題を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初は一般の子どもに対して啓発プログラムを作成する予定であった。そのためにはまず、一般の子どもたちが慢性疾患の子どもを理解し、ともに学校生活を送るためには、子どもが病気や病気の友達をどのように理解しているかを知る必用があった。そこで質的ならびに量的調査により、一般の子どもの認識を調査できた。 子どもへの教育を考えるためには、まず教員が慢性疾患やその子どもを理解する必要があるため、3年間の研究においては、まず教員への啓発プログラムを作成実施することを優先的に考え実施した。 よって現在までの達成度はおおむね順調であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成26年度には、平成25年に実施した調査結果のまとめを行うとともに、教員が病気や病気の子どもをどのように捉えているかを明らかするための量的調査を実施する予定である。この調査結果と平成25年度に作成したプログラム試案を鑑み、教員への啓発プログラムの修正と評価を実施する。 またケースメソッド教育によって、慢性疾患の子どもの理解を促す教員研修を広めるため、平成24年度に作成したケースブックの指導者用マニュアルを作成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に購入した物品が予定より若干安く購入できたため。 翌年度、購入物品にあてる予定である。
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