研究課題/領域番号 |
24593431
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
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キーワード | 地域看護 / 公衆衛生看護 / 子ども虐待 / 保健師 / 家族生活力量 / ストレングスモデル |
研究概要 |
本研究の目的は、子ども虐待事例に対するケアを実施している保健師を対象に、子ども虐待事例検討会を実施し、家族生活力量のアセスメントを行ったうえで、ストレングス・モデル(Rapp,1998/1998)を用いてケア実践をサポートする。 事例検討会は、検討、実践、モニタリング、評価の過程を螺旋的に展開させ、支援開始時と支援終了時(あるいは検討後、3、6,12か月後)に家族生活力量、虐待の改善等を評価することである。 2013年度は、2013年3月に実施した22事例うち現状が把握できた20例の追跡調査の分析を継続した。 虐待の種別はネグレクトが55%、身体的虐待が30%、心理的虐待が15%であった。虐待の重症度は軽度40%、中等度25%で支援後、支援を行った保健師が「改善した」と思う事例が45%、「どちらとも言えない」と思う事例が50%であった。支援前後の家族生活力量の変化をみると、健康維持力、問題対処力、養育力、社会資源活用力、関係調整・統合力、住環境調整力、経済家計管理力が有意に向上していた。一方、家事運営力、役割再配分補完力は有意な差は見られなかった。保健師の支援で十分実施した内容は「子どもの安全確認」「子どもの安全確保」「支援者であることを伝えた」「実践可能な方法を提案した」「家事育児のモデルを示した」であった。実施しなかった内容としては、「虐待であることを告知した」「土日や夜間の相談先を教えた」「親が同席のカンファレンスを開催した」であった。 事例検討会で家族のもつ強みに着目し、強みを伸ばす支援を検討し、実践につなげることが家族生活力量の改善につながったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20例の事例の追跡調査を実施でき、さらに新規事例2事例を追加している。質量両面で保健師および家族の状況を分析を進めているところで、現段階でのまとめを学術学会および研究協力者に報告している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き子ども虐待事例検討会を開催し、ストレングスモデルを用いて、家族生活力量を測定し、家族の強みに着眼し、家族生活力量を高めるよう働きかける。事例は年間5-10例程度を追加収集し、これまでの事例とともに追跡調査をしていく予定である。収集できた追跡調査データについてはさらなる分析を深めていき、学術雑誌への投稿や学会での報告を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集のための旅費が予定よりもかからず、また、専門家からの助言に謝礼が不要となり、データ収集のための旅費、および専門家からの助言への謝金が計上よりも減額した結果、次年度に使用額が生じる決算となった。 データを収集するための旅費、国際的専門知識の情報収集のための国際学会(日本で開催)の参加費及び旅費、データ入力および整理のための謝金、英論文作成のための翻訳、校正費、書籍のための備品費、文具等を計上する。
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