研究実績の概要 |
【目的】保健師を対象に子ども虐待事例検討会を実施し,家族の強みに焦点を当てストレングスモデルを用いて検討し,支援による家族生活力量,虐待の変化を評価する。 【方法】保健師を対象に事例検討実施後,支援を行った28事例のうち,追跡調査できた20事例を分析対象とした。調査期間は平成25年2月~28年3月。方法は自記式質問紙調査票と半構成質問法により実施し,調査項目は事例の虐待の状況,検討した家族の強み,虐待改善度,家族生活力量等である。分析は記述統計量、度数を算出後、事例検討前と検討後1月以上経過した時点を比較するため,重症度の変化はWilcoxonの符号付順和検定,家族生活力量については対応のあるt検定を行った。本研究は新潟大学医学部倫理審査委員会の承認を得て実施した。 【結果】虐待児の年齢は0歳が35.0%と最も多く、3歳以下が全体の75.0%を占めていた。虐待の種別は「ネグレクト」60.0%,「身体的虐待」30.0%,重症度は軽度40.0%,ハイリスク30.0%、中等度20.0%、重度5.0%であり,母親がうつ等,精神疾患等を抱える事例が65.0%であった。家族生活力量アセスメント指標の得点では「社会資源活用力」が58.0%と最も高かった。事例検討で焦点を当てた家族の強みの例は,「保健師の支援を受け入れる」「社会資源を活用できる」等であった。支援の結果,「改善した」が45.0%,「どちらとも言えない」が55.0%であった。支援後に家族生活力量の向上が見られた事例は70.0%で,具体的な項目でみると,健康維持力,問題対処力,養育力,社会資源活用力,関係調整・統合力,住環境調整力,経済家計管理力が有意に向上していた。 【結論】事例検討により、家族生活力量アセスメントに基づき,家族の強みを伸ばす支援を検討し実践していくことによって,家族生活力量を向上や虐待の改善につながると考える。
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