本研究の目的は、要介護高齢者の排便ケアの質の向上を目指し地域の包括的排便ケア支援システムを構築することである。排便ケア支援システムの構築はA県内全域と過疎と高齢化が進むS地域をモデル地域を設置した。 【対象】石川県内の病院・高齢者入所施設・訪問看護ステーションの計238か所に研究協力を依頼し、12か所から同意を得、24名(看護師16・介護職7・理学療法士1)が本プログラムに参加した(平均年齢43.4歳、経験年数18.2年)。 【方法】ソフトシステムズ方法論を活用したグループワーク(GW)を軸としたOJTとOFF-JTを組み合わせた研修会を6回開催しPOOマスターは、所属施設と周辺地域の排便ケア改善計画を立案した。計画の実施にあたっては、医師・薬剤師・看護師等からなる排便ケア専門支援チーム(チームコロン)がサポートした。POOマスターの計画立案プロセス・実施状況と研究前後で学習状況を自記式質問紙にて調査した。本研究は金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得た。 【結果・考察】研究前に排便ケアを学習していた者は38%だった。GWを通して、スタッフの排便ケアの知識不足により排便のアセスメントが不十分なまま下剤が使用されていたことが明らかとなった。POOマスターが立案した排便ケア改善計画は、施設の人材育成・地域の多職種との研修会・事例検討会の開催だった。 【成果】定期的にチームコロンの支援を得、事例検討・人材育成のための教材作成・排便ケアマニュアル等の部会を形成した。各部会は、平成26年に10回開催され、現場の実践に基づいた排便ケア事例、人材育成用教材の作成、老人保健施設用の排便ケアマニュアルの作成を行うことができた。その成果を第27回日本老年泌尿器科学会で発表し学会賞を受賞した。
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