研究課題/領域番号 |
24593435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
長谷川 美香 福井大学, 医学部, 教授 (90266669)
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研究分担者 |
米澤 洋美 福井大学, 医学部, 講師 (10415474)
北出 順子 福井大学, 医学部, 講師 (80509282)
吉川 峰子 福井医療短期大学, 医歯学系, 准教授 (70446152)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / 支援担当者 / 連携 / 教育プログラム |
研究概要 |
DV被害者支援担当職員の連携実践能力を高める教育プログラムの開発をめざし、本年度はDV被害者支援連携推進要因を明らかにすることを目的にインタビュー調査を実施した。 対象はX県内でDV被害者支援連携が上手く行われているA地域のDV被害者支援に携わっている配偶者暴力相談支援センター(県)専門相談員2名、市町村の専門相談員1名、X県のDV被害者支援事業企画部署2名、およびDV被害者7名であった。インタビュー内容は、行政の専門相談員には、被害者の支援時に心がけていること、実際の支援内容、多機関との連携のための工夫等について、DV被害者には、相談時の思い、支援へのニーズ等についてである。得られたデータは、質的帰納的手法を用い分析した。 支援担当職員からは、「被害者を苗字ではなく名前で呼ぶ」「調整弁となる部署」「担当職員が出向く」「個々の職員の意識」のカテゴリーが抽出された。DV被害者からは、「職員による異なる対応」「DVを知らない職員」「身近すぎて相談できない」「生活すべてを見てほしい」のカテゴリーが抽出された。 本調査結果より、DV被害者支援における連携実践を推進するには、各自治体内に「調整弁となる部署」を設置し被害者の情報を集約する、その部署には相談支援機能のみならず支援に関する権限を付与する、そして庁内の他部署につなぐ時には被害者の所に「担当職員が出向く」という体制、そして「個々の職員の意識」の高さが連携を推進する上で重要な要因であることが明らかとなった。また、DV被害者からは、「生活すべてを見てほしい」というニーズから、DV相談窓口以外の生活支援部署に「DVを知らない職員」「職員による異なる対応」がないよう職員への研修の充実、「身近すぎて相談できない」ことについては、プライバシーが守られる相談環境、職員の個人情報保護の教育の徹底が重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、おおむね順調に研究を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年(平成24)度の研究成果および先行研究結果を参考に、次年(平成25)度は連携実践能力の影響要因をより明確にするため、対象者数を増やし、統計的分析手法を用い、DV被害者支援担当職員の連携の実態と課題、連携を推進する影響要因を明らかにする。そして、平成24、25年度の結果をもとに、平成26、27度にはDV被害者支援担当職員の連携実践能力を推進するための教育プログラムを作成し、プログラム評価、プログラム改良を行う予定である。 具体的には、平成25年度にはX県内のDV被害者支援のコアとなる配偶者暴力相談支援センター、児童、福祉、男女共同参画の部門・機関等に所属する職員100名程度を対象に、無記名自記式の質問紙調査を郵送法にて行う。調査内容は、①対象者の属性等:性別、年齢、所属部署と職位、現在の部署での経験年数、DV被害者への支援経験の有無など、②連携の実態:連携に関する認識・必要性、連携目的、連携先、連携頻度、連携時の課題等である。 平成26年度には、連携実践能力向上のための教育プログラム(案)を作成する。平成24・25年度の研究結果、および多職種連携教育を先駆的に実施いしてる国内外の機関、および先行研究を参考に、教育プログラム内容、評価指標の検討を行う。そして、作成した教育プログラムの妥当性、実施可能性の検討を行う。 平成27年度には、作成した教育プログラムを介入群に実施し、実施前後の介入群の変化と比較群の変化を測定し、教育プログラムの評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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