研究課題/領域番号 |
24593437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
水田 明子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50515830)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 抑うつ / 思春期 / 地域環境 / 家族 / 学校 |
研究概要 |
静岡県の菊川市と湖西市の中学生2,971人、教員117人に心の健康調査を実施した。 中学生の抑うつ状態については、Birleson自己記入式児童用抑うつ性尺度DSRS-Cの結果、平均得点は11.57点で、16点以上の抑うつ群は全体の24.5%であった。これまでの日本の先行研究と比較して、平均得点は概ね同じで、抑うつ群はやや多いことがわかった。家族機能測定尺度20項目(FACESIII)を用いて家族関係を測定した。今回の調査では、第1凝集性と、第2適応性が中間レベルにあるバランス群は37.7%、どちらか一方の次元が中程度で他方が極端な中間群は36.3%、両次元ともが極端な極端群は19.3%であり、バランス群と中間群が同程度であることがわかった。サポートについての期待は、母親、友達、父親、きょうだい、先生の順に高かった。これらの結果から、今後、心の健康に影響を及ぼす出来事に直面した時に、抑うつを緩和する要因としてどのような個人的特性を備える必要があるのか検討する。中学生自身の認知を重視した大規模な家族機能の調査は少ないため、中学生の抑うつ状態の緩和につながる保護者の養育態度、周囲のサポートや環境を検討する基礎資料となる。 教員の抑うつ状態をK6(うつ病スクリーニング調査票)を用いて把握した。「9点以上(うつ傾向あり)」は13.7%であった。年代別では、20代(21.6%)が最も多く、次いで40代(16.0%)で、年代別で差がみられる。健康状態を年代別にみると、「良い」と「まあ良い」を合わせた“良い”は、40代(52.0%)が他の年代に比べ10ポイント以上低くなっており、年代別で差がみられる。生徒のと教員のデータをクラスと学校単位で集計して特徴を明らかにすることで、教育現場での具体的な介入方法を検討することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
教育長、校長から聞き取りを行った結果を調査票に反映させ、中学生については家庭、学級、地域の環境等、教員については学級運営や健康状態、社会関係資本等についての設問を取り入れて調査票を作成した。2市、8つの市立中学校から調査の協力が得られた。中学生のいじめや自殺が重大な問題になっている状況があり、教育委員会、校長から、実体を把握するために迅速に調査を行う必要があるとの要望があり、平成25年度に予定していた調査を平成24年度に前倒しして実施した。性別、学年別、学校別に、各項目のクロス集計を行い、報告書を作成して調査協力校に報告した。 中学生と教員に対して、抑うつを緩和させる要因に着目した設問を設定し、学級単位で調査を実施したため、学校や学級の特徴に合わせた介入可能なメンタルヘルス支援を検討するための資料が得られた。さらに、家族機能、地域の行事や環境についても把握したため、学校だけではなく家庭と地域を含めた中学生のメンタルヘルス支援を検討することが可能である。 本研究の事前の資料とするため、調査済みの「浜松市民の健康づくり調査」の中学生のデータを利用した分析を行った。中学生の抑うつ状態と社会属性と生活習慣、BMIの関連について解析を行った。また、中学生の飲酒に関連する要因を把握するため、GISソフトを用いて公表されている店舗のデータを算出し、飲酒と地域の環境との関連について分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
中学生の抑うつと社会的属性や生活習慣、家族機能、地域の環境との関連を明らかにする。抑うつの緩和要因として他者からのソーシャルサポートと社会関係資本、個人的要因としての時間的展望の効果について分析する。生徒個人のデータを学級と学校単位に集計して、教員の調査結果も用いてマルチレベル分析を行うことにより、中学生の抑うつを緩和する要因を個人、学校や家庭、地域のレベルで明らかにする。 分析結果について教育関係者と検討し、学校や学級の特徴に応じた介入可能なメンタルヘルス支援について考案する。 分析結果をとりまとめて調査協力校に報告する。学会での発表準備、発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究データの管理を徹底しデータの管理と解析を主として行うためのパソコンと、SPSSソフトを購入する。 分析と論文作成のために必要な参考図書を購入する。 必要に応じて、ソーシャルサポート等の心理尺度の結果の解釈について専門知識の提供を得る。 協力が得られた各学校に分析結果を報告するための資料作成代金と郵送代、メンタルヘルス支援の検討を行うための交通費に用いる。 研究結果を公表するため学会発表の参加費と交通費に用いる。
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