研究課題/領域番号 |
24593437
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
水田 明子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50515830)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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キーワード | 抑うつ / 中学生 / サポート / 思春期 |
研究概要 |
中学生の抑うつと家族機能の関連を明らかにすることは、中学生だけでなく家族も含めたメンタルヘルスの対策を考えるうえで重要である。中学生の抑うつと家族機能の関連を、家族機能測定尺度(FACESIII:Family Adaptability and Cohesion Evaluation Scale)の下位尺度(凝集性、適応性)別に明らかにした。 抑うつ評価尺度は日本語版DSRS-Cを用い、カットオフ値16点以上で抑うつ高群とした。分析対象は公立中学校8校1年生~3年生2,780人。性別、抑うつ高群と低群について凝集性と適応性の平均値についてt検定を用いて比較した。抑うつ高群は全体の25%であった。性別では男18.8%、女31.4%で男より女が有意に高かった。学年別では明らかな差は無かった。凝集性の平均値は抑うつ低群34.3、高群27.2 (P<0.001)、適応性の平均値は抑うつ低群28.9、高群26.4 (P<0.001)であり、どちらも平均値は抑うつ高群より低群で高かった。性別による凝集性と適応性の平均値に差は無かった。性で層化した凝集性の平均値は、男の抑うつ低群33.7、高群26.0、女の抑うつ低群35.0、高群28.0、適応性の平均値は、男の抑うつ低群28.9、高群26.3、女の抑うつ低群29.0、高群26.4 であった。 凝集性と適応性共に抑うつ高群より低群の平均値が高かったが、適応性より凝集性の平均値の差が大きいことから、家族機能のタイプ別に抑うつのリスクを検討する必要が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年の研究機関で2年目に主な分析を終え、現在論文執筆中である。海外の医学雑誌への投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
中学生と学級担任に調査を行う際に、協力校の8つの学校の校長と教育委員の担当者からから中学生の問題について聞き取りを行い、分析と結果の考察に反映させた。家庭教育や生活習慣の問題が学校での問題行動につながっているため、家族への調査が必要であるとの意見が多かった。先行研究でも、家族の形態(死別、離婚、再婚)や経済状況(収入、雇用形態)、教育歴が中学生のメンタルヘルスと関連している。今後、学校の協力を得て生徒の両親への調査の実施を検討する。 平成26年度は論文の投稿と学会発表を行う。 分析結果の結果の解釈を発展させるため、モンゴル国立教育大学教育学教授法学部学部長の協力を得て、モンゴルで子どもの問題とその対応策についてインタビュー調査を行い日本で行った結果と比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は詳細な分析を行い、学会発表は1件にとどめた。学会への投稿が平成26年度となり、英文校正、投稿料などの使用がなくなった。調査協力中学校への中間報告の報告書を簡易製本とした。 海外雑誌へ投稿するための、英文校正、投稿料に使用する。 平成26年度に教育委員会へ結果報告ためのプレゼン資料の準備と訪問費用とする。
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