研究課題/領域番号 |
24593437
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
水田 明子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50515830)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 思春期 / 抑うつ / 先生のサポート / 学校 |
研究実績の概要 |
中学生の抑うつと先生サポートとの関連について分析を行った。うつ病のスクリーニングテストと性に答えた分析標本数は2,780人。抑うつの測定には、日本語版Birleson のDepression Self-Rating Scale for Children(DSRS-C)を使用した。カットオフ値16点未満を低群、以上を高群とした。抑うつ高群は男18.8%, 女31.4%。先生からのサポートは、中学生用The Scale of Expectancy for Social Support(SESS)を用いた。合計得点の第3四分位数の51点未満を低群、以上を高群とした。個々の生徒の評価からクラス単位の平均値を算出した。クラス平均でみた先生サポートを説明変数、抑うつを目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。個人の感じる先生サポート、成績満足度、経済状態、生徒の性、学年、家族構成、クラス担任の性と教職経験年数を調整した。クラス平均でみた先生サポート高群と抑うつ低群は有意な関連が見られた(OR=0.739, CI=0.575-0.948)。クラス平均でみた先生サポートと成績満足度 (P=0.025)の交互作用が有意であった。日本で最も大規模な標本を用いて、潜在的交絡因子を調整した分析を行った。メンタルヘルス促進のためのポピュレーションアプローチに貢献できる。 中学生のBMIと経済状況との関連について分析を行った。使用した全ての変数に欠損の無い2,520人を分析対象とした。経済状況は5段階で尋ね、経済的な余裕が無いとそれ以外に区分した。BMIはWHOの子どもの基準(BMIz-score)に適合させた。BMIz-score1SD以上が男9.9%、女7.1%であった。経済的余裕が無い生徒は男4.2%、女3.4%であった。性別に学年と家族構成を調整したロジスティック回帰分析を行った。女は、経済的余裕が無いと回答した生徒は有ると回答した生徒よりも有意にBMIz-score1SD以上が多かった(OR=2.49; 95%CI=1.06-5.82)。思春期の過体重に対する対策として、経済的側面からの肥満への介入を提案できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先生サポートと中学生の抑うつの関連については論文をまとめ、現在、海外の雑誌に投稿中であるがまだ採択されていない。 中学生のBMIと経済状況との関連については、The 6th international conference on community health nursing research(平成27年8月開催)でポスター発表が採択(査読有)されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、教員票を用いて、教員のメンタルヘルスと教員同士の互恵性、信頼との関連について分析している。論文として、調査を実施した地域の公衆衛生領域の学術雑誌へ投稿する。 先生サポートと中学生の抑うつの関連については、クラスレベルの先生サポートを環境要因としてマルチレベル分析を用いた論文を執筆中であり、海外の学術雑誌に投稿予定である。 中学生のBMIと経済状況との関連については、交絡因子を投入し、媒介因子を明らかにするための分析を行い、論文を執筆中であり、海外の学術雑誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在投稿中の論文の掲載料が発生しなかった。また、モンゴルでの共同研究を実施することになり、調査に関する費用として次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
投稿中の論文の掲載料、モンゴルでの共同研究のための調査に使用する。
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