研究実績の概要 |
研究の目的は、先生からのサポートと中学生の抑うつ緩和との関連を明らかにすること。静岡県の2市にある全ての公立中学校8校の全学年の生徒2,968人とクラス担任97人。2012年12月~2013年1月に自記式質問紙調査を行った。 生徒の調査では、抑うつはBirleson(1986)のDepression Self-Rating Scale for Children(DSRS-C)日本語版(村田 他.1996)、先生からのサポートは中学生用 The Scale of Expectancy for Social Support(SESS)(岡田 他.1993)を用いて評価した。DSRS-Cは、カットオフ値16点未満を低値、以上を高値と定義した。SESSは、因果の逆転を防ぐため、個々の生徒の評価からクラスの平均値を算出し、“クラス平均でみた先生サポート”と定義した。第3四分位数44.6点未満を低値、以上を高値とした。説明変数をクラス平均でみた先生サポート、目的変数を抑うつとし、家族構成、経済状況、生徒の性と学年、成績満足度、個人の感じる先生サポート、クラス担任の性、教職経験年数を調整したロジスティツク回帰分析を行った。次に、成績満足度とクラス平均でみた先生サポート、経済状況とクラス平均でみた先生サポート、生徒の性とクラス平均でみた先生サポートの交互作用を其々投入した分析を行った。更に、成績満足度、経済状況、生徒の性で層化した分析を行った。 生徒の有効回答数は2,780人(有効回答率93.7%)。クラス担任の有効回答数は91人。クラス平均でみた先生サポートは、抑うつと負の関連があった(オッズ比0.739, 95%信頼区間0.575-0.948)。クラス平均でみた先生サポートと成績満足度の交互作用が有意であった(P=0.025)。本研究の結果は、クラス担任への介入と生徒のメンタルヘルスを促進させる。
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