研究概要 |
平成25年度は生活習慣変容過程におけるストレングス測定尺度(SMS)を開発し、その信頼性と妥当性を検証した。SMS原案(63項目)は平成24年度までに実施した先行研究(男性16人、女性9人対象の質的帰納的研究)結果をもとに作成し、尺度開発研究者1人と地域看護学分野の専門家3人により内容的妥当性の検証を行った。予備調査を経て提案されたSMS本調査版(38項目)を用いて本調査を実施した。成人1,339人対象に質問紙を直接配布し回収は任意提出とした。調査にあたり徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号1316)。 1,160部を分析対象とした(有効回答率86.6%)。SMS本調査版について探索的因子分析を行った結果、【活用】,【再構築】,【つながり】,【自己理解】の4因子36項目を採択しSMS最終版を作成した。Inner Strength Scale(スウェーデン), Inner Strength Questionnaire(アメリカ)との比較を行った結果、どちらの尺度も【つながり】,【自己理解】と同様の因子を含んでいた。SMSの【活用】,【再構築】は、認識面だけでなく行動面の力をも含んでおりInner Strengthと異なる側面を有していた。クロンバックのα係数はSMS全体で0.941、各4因子で0.876~0.926であった。SMSと修正版主観的健康管理能力スケール日本語版(PHCS)との相関係数0.495、精神的回復力尺度(ARS)とで0.520と、どちらも有意な正の相関が認められた。健康関連QOL尺度(SF-8)精神的健康との相関係数は0.222であった。SMSと生活習慣との相関係数は0.350、行動変容ステージとでは0.366であった。年齢との相関関係はなかった。以上の結果より、SMSの信頼性と妥当性を確認することができたと考える。 研究成果は、国際学会ICN 2013(メルボルン)でポスター発表を行い、女性対象の質的帰納的研究は論文にまとめた(JNI,12(2),平成26年3月発行)。SMS開発についての論文は、JMI,61(1, 2),平成26年2月発行に掲載された。
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