平成26年度は、研究最終年度として、知的障がいのいある女子の性発達支援に関する研究協議会を開催した。この協議会の目的は、社会への送り手である特別支援学校と社会の受け手である市町村保健師(母子・福祉関係)が相互に協働連携し、知的障がいのある女子が特別支援学校を卒業後、自立して日常生活および社会生活を営むことができるよう切れ目のない子どもの育ちを支援するシステムに向けて、ネットワークを構築することである。 研究協議会において、①性に関する捉え方として、心を育てること、自尊感情を基盤に認める関わりを大事にすることなどの必要性や、性に対する価値観を振り返ることや、危機感に対する共通認識を持つことができた。②知的障がいのある女子の性発達支援における課題共有として、特別支援学校での将来の生活に焦点を当てた授業への取り組みや、地域の保健師の事例を通して、避妊教育が必須の課題であることなど、子どもの成長への支援について共有することができた。③学校と地域(福祉・母子)との連携として、特別支援学校教員からは、家庭背景が複雑な子どもで保健師との連携で助けられた事例や、地域の保健師からは、保健師の地域での役割を明確化すること、システムとしての連携をどのように考えていくのかなどの意見が出された。④性に関する教育の具体策として、子どもへの指導として、自己を守る知識を前提に、身体と心の成長・人としての在り方・自立す る力(生きる力)について、教育内容や方法を考えていくことが確認された。 更に、研究協議会の方向性として、障害者総合支援法などの関係法規の共通理解、子どもと家族を支えるための支援について、保健師(行政)が学校と連携できることは何かを提案してもらいながら進めていきたいと考えている。
|