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2013 年度 実施状況報告書

地域高齢者のスピリチュアリティとその影響要因および生きがい感に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 24593443
研究機関琉球大学

研究代表者

與古田 孝夫  琉球大学, 医学部, 教授 (80220557)

キーワード地域高齢者 / スピリチュアリティ / 身体的衰え感 / 要介護状況 / 抑うつ傾向 / 閉じこもり
研究概要

本年度は、昨年度調査研究を行った沖縄県A市の65歳以上の地域高齢者を対象に、以下のような詳細な検討を行った。分析対象者718名(男性369名、女性349名)について、性・年齢区分別にみたソーシャルサポートの授受が地域高齢者の抑うつ傾向に与える影響では、前後期および男女間でソーシャルサポートの授受が抑うつ傾向に及ぼす様相の異なることを示し、サポートをバランスよく受領・提供することに加え、今後は高齢者の性差・および年齢を考慮したサポートの内容の検討が、抑うつや自殺防止の方策として有用である可能性を示唆した。高齢者の「身体の衰え感」がストレス認知およびストレスコーピングを介在に抑うつ傾向へ及ぼす影響では、高齢者の身体的衰え感に対するストレス認知の態様により、介在するストレスコーピングも異なり、抑うつ傾向に及ぼす影響に差異のあることを示し、日常的なストレスに関する認知と対処を組合せた効果的プログラムの工夫が、高齢者のメンタルヘルス対策として有用であることを示唆した。要介護状況にある高齢者のスピリチュアリティがストレス認知-対処、および抑うつ傾向に及ぼす影響では、介護状況にある高齢者においては、スピリチュアリティの維持・向上が日常生活上のストレスに対して有用に機能し、高齢者の抑うつ傾向の低減にも良好に影響する可能性を示唆した。高齢者の「生活に満足した閉じこもり」と身体および心理社会的要因との関連では、「閉じこもり状況にありながらも生活に満足した」高齢者は、男女共通して抑うつ傾向が低く、生活に対する主観的幸福感も高いことを示し、一方で、「閉じこもり状況にないにも関わらず生活に不満足な」高齢者では、ストレス認知やコーピングの態様が不安を助長し、抑うつや主観的幸福感、スピリチュアリティなどの精神健康やQOLにネガティブに影響している可能性を示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

沖縄県の代表的市街地域であるA市において、研究課題である地域高齢者のスピリチュアリティについてストレス認知-対処、および抑うつ傾向に及ぼす影響について詳細に検討したほか、性・年齢区分別にソーシャルサポートの授受が地域高齢者の抑うつ傾向に与える影響や、高齢者の「身体の衰え感」がストレス認知およびストレスコーピングを介在に抑うつ傾向へ及ぼす影響、高齢者の「生活に満足した閉じこもり」と身体および心理社会的要因との関連についても検討を行い、高齢者の抑うつや自殺防止の方策として、性差・年齢を考慮したサポート授受検討や日常的なストレス認知と対処を組合せた効果的プログラムの工夫の必要性、老いへの受容やストレス対処など、生活の質を高めるための取組みの重要性を研究成果を踏まえ提言できたことの研究的意義は大きいと考える。

今後の研究の推進方策

平成26年度は沖縄の島嶼地域のなかでも人口1,000人以下の小離島である粟国島において同様の調査を行う。粟国島は、那覇市の北西約60kmに位置し、周囲約12kmの小さな島であり、人口739人(男405人 、女334人)、世帯数は445世帯であり(平成26年3月31日現在)、高齢化率は33.7%、65歳以上人口のうち、75歳以上人口の割合は69.1%と、高齢化が進みながらも伝統的祭祀や行事などが存続し、地域の紐帯の強い地域である。本調査を通して、平成23年度の市街地域であるA市の比較を通して、地域高齢者のスピリチュアリティの様相と関連要因について詳細に検討を行う予定である。なお、当該地域での調査が困難な場合は、粟国島と同様に伝統的地域特性を有し、高齢者の占める割合の高い小離島地域を選定し、調査を実施する。
本年度の残高なく、ほぼ計画通りに予算執行を行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 地域高齢者のスピリチュアリティがストレス認知―ストレス対処行動を介在に抑うつ傾向に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      神谷ひかる、豊里竹彦、古謝安子、與古田孝夫
    • 雑誌名

      琉球医学会誌

      巻: 32 ページ: 33-44

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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