研究課題/領域番号 |
24593445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
後藤 順子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (90310177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生活機能 / 地域在住高齢者 / 介護予防 |
研究概要 |
1.調査I地域在住高齢者の生活機能に影響する要因【目的】高齢者の生活機能低下の一次予防を検討するために、健康な高齢者の生活機能に影響する要因を明らかにする。【方法】2004年健康調査参加者の死亡転居を除いた185名に対して、2010年に追跡調査を実施した。追跡調査回答者146名を対象に、健康調査時の有意な項目を独立変数、追跡調査の生活機能のリスクの有無を従属変数として、6年後の生活機能への影響要因について多重ロジスティック回帰分析を実施した。 【結果】追跡調査回答者146名の生活機能のリスクなしが27名(18.5%)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、「下肢筋力(伸展)」(OR2.01)、「過去1年間の転倒の有無」(OR18.83)、「病気で2~3日寝込んだときに看病や世話をしてくれる人が同居家族以外にいる」(OR13.53)が有意であった。【考察】歩行機能が自立している高齢者では、「下肢筋力(伸展)」が生活機能低下の徴候であると考えられ、下肢筋力(伸展)の維持・強化が重要である。また、「過去1年間の転倒」ありが影響要因だったことは、下肢筋力(伸展)の低下を補足する結果と考えられる。健康な高齢者では「2~3日寝込んだ」としても、社会サービスにアクセスしにくく、インフォーマルサポートへの専門家の支援が重要である。【結論】健康な高齢者の生活機能低下の発生を防ぐ一次予防は、個人の努力に加えて、下肢筋力の維持強化、インフォーマルサポートを含む地域づくりが重要であることが示唆された。 2.調査II山形県における高齢者の健康づくり(介護予防)に関する研究【結果】山形県内市町村及び地域包括支援センターの看護職に対して、質問紙調査を実施。回答者は行政の保健分野が介護予防に適任の部署であり、その理由は「介護予防はライフステージにおける健康づくりの一環であるため」が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの調査の積み重ねから、地域在住高齢者の介護予防に関する生活機能の影響要因は分析できた。本来ならばこの結果を元に、地域での介入研究を実施する予定であったが、調査地区の担当者が変更したことや実施市町村によって、担当する部署や地域特性が多様であるために、介入研究までいたらなかった。 そのため、分析結果を直接地域に導入するよりも地域の現状を把握し、どのような体制であればより効果的な介護予防活動が実践できるのかを探るため、調査IIを実施した。その結果、生活機能を維持し、介護予防活動を展開していくには、地域にあるシステムや人材を含めた社会資源を見直す必要性が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
1.調査協力が得られる介入地区を再検討し、当該地区における地域特性、介護予防に関するシステムやネットワーク、介護予防に関する人材を含む社会資源の把握を行う。 2.介入地区における分析結果を基本とした介護予防事業等の再構築を関係者とともに実施する。 3.介入の実際については、事業の開始前に基本チェックリストや運動機能、自記式質問紙による事前評価を行う。介入は概ね半年間を行い、半年後に再評価を実施するが、その後のフォローについても介入地区担当保健師とともに検討していく。また、介入における参加者のみでなく、関係者にも調査を実施し、介護予防事業の課題についても探っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.旅費:研究介入旅費及び学会発表旅費(日本公衆衛生学会学術集会発表の予定) 15万 2.謝礼等:検討のための検討会出席及び調査協力謝礼(@1000円 20人 5回)10万 介入事業講師謝礼(@10000円 5人)5万円 3.物品費:調査に関する消耗品及び図書の購入 8万円 4.その他:郵便等の通信費 2万円
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