研究課題/領域番号 |
24593446
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
丸谷 美紀 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (50442075)
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研究分担者 |
佐藤 紀子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (80283555)
雨宮 有子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (30279624)
細谷 紀子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (60334182)
大澤 真奈美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (50331335)
嶋澤 順子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00331348)
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キーワード | 文化的看護 / 生活習慣病予防 / プピュレーションアプローチ |
研究概要 |
平成25年度は、平成26年度に引き続き、関東近県3市で調査を継続した。予定していた東京東部での調査が、臨地の事情により困難となったため、より良質な活動を行っている1市を調査地域として追加し、合計4市で調査を行った。本研究は1地域を1事例として質的縦断的に調査を前向きに行っていく。以下、地域ごとに前年度からの変化を述べる。なお、A.B.C市は2年目の調査のため、初年度からの変化を抽出した。D市は初年度の調査である。 1.A市:体操の活動が地域見守りパトロールへ発展する一方で、体操に参加しない住民から、体操の音楽への苦情がきたため、保健師は住民の多様な生活リズムを考慮する計画を立案、実施し、住民の体操への理解を深めた。また、体操の普及を躊躇する住民に対し、地区を超えて助言しあう計画を立案、実施した。 2.B市:市の方針として、H26年度より運動普及の活動を栄養改善の活動を統合することになった。保健師は、運動普及員が市の方針に円滑に移行できるよう、個々の功績を認めつつ全体への啓発を行う計画を立案し、調整を行った。 3.C市:小地区毎に保健師へ求める内容が異なってきたため、それぞれに応じた対応を計画し、実施した。 4.D市(初年度調査):市の土地開発計画に関連して、小地区ごとに住民の健康への意識が異なることを把握して、市への愛着をはぐくむように、市の行事への参加を促した。体操を身体的な健康藻にならず、世代を超えて交流できる手段として活用を支援した。 以上より、保健師は、初年度に把握した小地区毎に異なる人々のつながり方、地区への思い、健康への意識等を、民意の集大成である行政の方針と調整して活動を進めていた。活動を進めながら、住民同士のつながり方を心地よい距離を保ちつつ強固にし、身体的・精神的・社会的な健康への関心を醸成していた。さらに、行政への関心を高めていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.調査内容:調査地域は、当初予定していた東京都東部が困難となったため、調査開始がH25年度となった市が1か所あった。しかし、ほか3市は順調にデータ収集も進んでおり、初年度との変化も抽出できている。 とくに、前向き調査だからこそ得られる変化は、これまでの質的研究では得られない貴重なデータと考える。なかでもB市は、運動普及員と栄養改善事業との合体が決定した。保健師は、住民の活動に共に入り住民の活動の文脈で理解し、行政の方針と住民協力者の気持ちの調整を行っていた。質的縦断的に前向きに調査したからこそ得られたデータと考える。行政の施策実施を含む人の生活は、日々進行しており、動いている様相が把握できた。 2.研究への助言:H25年5月、エスノグラフィーに精通する国内の研究者へ相談、助言を受けた。海外研究者はH26年3月を予定していたが、先方の事情により来日が困難となり、H26年4月以降に延期となった。 研究成果の公表は、H26年1月に、A市、B市について公衆衛生看護学会で2演題を発表した。また、H26年8月には日本地域看護学会でD市、11月の日本公衆衛生学会でC市について公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨地調査の推進:H26年4月~12月:当初の研究計画通りに、3年目も4つの地域で調査を継続する。すなわち、各調査地域での保健師のplan-do-see、およびoutcomeとしての住民の変化を調査し、各局面における文化看護の視点を抽出する。その後、2年目からの変化を比較検討する。 2.分析の統合:H27年1月~:①各調査地域での3年間の文化的看護の視点と変化を抽出し、統合する。 ②住民のつながり方や重きを置くこと等、地域の文化の変化の方向性を導き出す。 ③地域の文化に即したポピュレーションアプローチの在り方を考察する。 3.研究成果の公表:H25年度の調査について、国内外の学会で発表を継続する。国内外の学会誌へ投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外研究者を招へいし、調査地域の視察および研究への助言をいただく予定であったが、海外研究者の個人的な事情(健康上の問題)により、将兵が困難となった。そのため、次年度へ予算を繰り越すこととした。 平成25年度に招へいを予定していた海外研究者の健康が回復したことを確認したのち、日程を再度調整する。その後、日本に招へいし、平成25年度の計画通りに現地の視察と研究への助言をいただく予定である。
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