研究課題/領域番号 |
24593449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜県立看護大学 |
研究代表者 |
藤澤 まこと 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70336634)
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研究分担者 |
黒江 ゆり子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (40295712)
原田 めぐみ 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教 (80448696)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 退院支援 / 利用者ニーズに基づく支援 / 人材育成モデル |
研究概要 |
医療機関のサービス利用者の意向に沿った退院後の療養生活を見据えて、入院時から計画的支援が実践できる看護職者を育成するために、利用者ニーズを基盤とした退院支援の質向上に向けた人材育成モデルの開発を目的に取り組んだ。具体的には、二次医療圏単位での退院支援の質の向上を目指して、モデル医療圏を設定し、圏内の医療機関の看護職者を対象とした「退院支援の研修プログラム」の開発を目指す。当該研修プログラムには、講義、退院支援部署での実地研修、訪問看護ステーションでの実地研修、リフレクションを含む。 平成24年度は「退院支援研修プログラム」の取り組みの1つである、退院支援の実践に必要な基本的知識の提供のために大学において講義・ワークショップを開催し、退院支援に関する知識の修得のための講義や先駆的取り組みの報告の機会を提供した。また、モデル医療圏内の8つの医療機関の退院支援を担当する看護職者へのインタビュー調査を行い、圏内の退院支援の現状・課題を明確にした。そして圏内の看護職者(医療機関の看護師、訪問看護師、保健師)を対象にワークショップを開催し、聞き取り調査結果による退院支援の現状・課題を共有し、意見交換を行った。その意見交換の内容より抽出された圏内の退院支援の課題として、【在宅移行の困難さがある】【入院時からの取り組みが必要】【多職種による連携が重要】【病棟看護師の知識・意識の向上が重要】等があった。そこで、それらの課題解決に向けた看護職者への教育支援として「退院支援研修プログラム」を提案し、病棟看護師による訪問看護の実地研修や、退院支援部署での研修の必要性について参加者全員より賛同を得た。 今後は当該医療圏のモデル医療機関において「退院支援研修プログラム」を試行し、退院支援の質向上に向けた人材育成モデルの開発に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、利用者の意向に沿った退院後の療養生活を見据えて、入院時から計画的支援が実践できる看護職者を育成するための、利用者ニーズを基盤とした退院支援の質向上に向けた人材育成モデルを開発することである。平成24年度は、その人材育成モデルの中核となる病棟看護師を対象とした「退院支援研修プログラム(講義、退院支援部署での実施研修、訪問看護ステーションでの実施研修、リフレクションを含む)」の試行を行うモデル医療圏を設定し、そのモデル医療圏内の医療機関の看護職者にインタビュー調査を行い、退院支援の現状と課題を把握した。その結果をモデル医療圏内の看護職者参加のワークショップにおいて報告し、意見交換を行い共通理解した。その際明確となった課題は【在宅移行の困難さがある】【入院時からの取り組みが必要】【多職種による連携が重要】【病棟看護師の知識・意識の向上が重要】等であった。それらの課題を解決するためには、看護職者が退院支援に関する確実な知識・技術を修得すること、在宅での療養生活の実際を体験すること、退院に向けた支援の実際を体験することが必要であり、より質の高い退院支援を実践するための「退院支援研修プログラム」の遂行について、賛同が得られた。利用者ニーズを基盤とした退院支援の質向上に向けた人材育成モデルを開発するためには、モデル医療圏内の利用者ニーズの把握、また自施設の医療サービス利用者のニーズの把握が必要となり、そのニーズに即した支援が求められている。そのため、24年度のモデル医療圏内の退院支援の現状・課題を把握し、圏内の看護職者間で共通理解されたことは、本事業の成果であると考える。そこで25年度以降は、モデル医療圏内の医療機関において実際に「退院支援研修プログラム」の開発に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降も、利用者の意向に沿った退院後の療養生活を見据えて、入院時から計画的支援が実践できる看護職者を育成するための「退院支援研修プログラム」を試行し、利用者ニーズを基盤とした退院支援の質向上に向けた人材育成モデルを開発することを目的に取り組む。 平成25年度はモデル医療機関において研修を希望する病棟看護師(約5名)を対象に「退院支援研修プログラム」を試行する。その取り組み内容は以下の6点である。1.退院支援に関する基本的知識の修得の機会として、看護大学において講義・ワークショップを開催し、退院支援研修プログラムの参加者は、必ず参加することとす。2.訪問看護ステーションでの実地研修の実施(午後半日間):半日間、訪問看護師と同行訪問を行い、訪問終了後に、訪問看護師と訪問事例の現状と課題について意見交換を行い、成果レポートを看護部長に提出する。3.退院支援担当部署での実地研修の実施:1日間退院調整看護師とともに、面談・ケア会議等に参加する。その後退院調整看護師と支援事例の現状と課題について意見交換を行い、成果レポートを看護部長に提出する。4.研修参加者は研修成果を踏まえて、病棟において受け持ち患者の退院支援に取り組み、事例検討を行う。5.リフレクション:研修参加者は、平成26次年度大学での「退院支援の講義・ワークショップ」時に受け持ち事例への退院支援の実践報告を行い、退院支援の取り組みの省察を行う。それらの「退院支援研修プログラム」の各研修における成果・課題を明確にし、「退院支援研修プログラム」の講義内容の充実、実地研修内容の充実、リフレクションのあり方の改善に取り組む予定である。26年度以降は、モデル医療圏以外の二次医療圏における「退院支援研修プログラム」の試行に取り組む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:報告書作成に関する物品、学会発表用の印刷用紙、資料の整理等のファイル、USB等200,000円、旅費:モデル医療圏への複数人の複数回の移動、学会報告時の移動等600,000円、謝金等:大学での講義の際の講師料等100,000円、その他:印刷費、通信運搬費等400,000円、合計1300,000円
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