研究課題/領域番号 |
24593451
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
奥田 眞紀子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00390211)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 養育支援訪問事業 / 支援内容 / 支援選択の指標 / アウトカム |
研究概要 |
本研究の目的は、養育支援訪問事業における「ニーズと支援内容」「支援内容とアウトカム」の関連性に着目し、効果的な支援選択の指標を明らかにすることである。 平成24年度は2点の取組みを行った。 1点目は、25年度に全国の市区町村に対し実施するアンケート調査の枠組みを作成したことである。運営および支援内容に関する項目は、主に養育支援訪問事業ガイドラインに示される内容を対比させて検討した。また、対象者の決定、支援内容の決定、支援計画の立案等の指標の有無や方法に関しては、具体的な内容の記載もしくはチェックリストやフローシートがあれば同送を依頼することとした。これらの枠組みをもとに調査票を作成し、A県39市町村に対しパイロット調査を実施した結果、回答が得られた16市町村のうち、本事業を実施している10市町村の分析を行った。その結果の一部として、本事業は母子保健部署が6市町村、児童福祉部署が4市町村担当しており、本事業の訪問者は、母子保健部署では保健師・助産師、児童福祉部署では、保健師・保育士・臨床心理士・児童指導員等多職種が担当していることがわかった。また、対象者や支援内容の決定に関しては、本事業独自のマニュアルはないが、担当者の合議によって決定しているところがほとんどであり、明確なアセスメント項目や合議方法のマニュアルがある市町村はなく、その点に課題を感じていることが明らかとなった。以上のことから、25年度の全国市区町村に向けてのアンケート調査項目の土台が構築され、課題が浮き彫りになり、さらなる精査の方向性が見えた点に本年度の研究の意義があったといえる。 2点目は、具体的支援内容とアウトカムを把握するために、A県B市に実施したヒアリング調査および現在支援の選択指標をもつ市町村の取組みを分析し、25年度に実施する本事業実施担当者へのインタビュー調査の枠組みを作成したことである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の主な取り組み内容は、調査票の作成およびA県におけるパイロット調査、インタビューガイドの作成であった。 研究目的の達成に関して、1点目の目的である「養育支援訪問事業の運営および事業内容」「支援選択の指標」の実態把握のためのアンケートの枠組みを作成することについては、パイロット調査の回収率の低さ(41%)が課題として挙げられた。事業未実施の市町村を除くと内容を分析できるのは10市町村(38%)のみのであり、その理由として設問の量が多く、複雑で手間がかかることが原因であると推測できる。また、24年度に厚生労働省が全国市区町村に対して、一部同様の調査を実施し、25年4月にその結果が公表されていることを踏まえて、さらにアンケート項目を精査する必要性が加わってきた。 2点目の目的である「具体的なニーズと支援内容、支援内容とアウトカムの実態把握」に関するインタビュー調査の枠組みの作成を行った。本年度の計画ではなかったが、インタビュー調査に関しても本年度中にA県において実施し、アンケート調査と同様に早期に課題を抽出し改善の方向性を見出す必要があった。 24年度の取り組みにより、25年度の全国調査に向けての調査項目の土台が構築され、課題が浮き彫りになり、さらなる精査の方向性が見えた点では、研究全体の目的を達成するうえでの、24年度に位置づけた目標は概ね達成できたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度は3点の取組を中心に実施する。1点目はA県の2~3市区町村に対しインタビュー調査を実施し、その分析とインタビューガイドの精査を行うことである。2点目は先駆的な取り組みを行っている自治体に対するインタビュー調査を実施し、ニーズと支援内容、支援内容とアウトカムの実態把握を行うことである。3点目は、アンケート項目の精査を行い、全国1742箇所の市区町村に対し、調査票の送付および回収を実施することである。 3点目のアンケート調査に関して、研究計画の時点では近畿県内227市町村への調査を予定していたが、回収率を40%と多く見積もりしても十分な回答数とはいえず、さらに全国の養育支援訪問事業の実施率は23年度の統計では62%であり、有効回答数はさらに少なる可能性が高い。そのため計画の変更を行い、全国の市区町村に対する調査へ計画の変更を行った。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度に旅費、人件費、調査票印刷費等の残金が発生しているが、アンケート調査の送付先を大幅に拡大したため、調査票の印刷や結果入力等の委託はせず次年度の郵送費へ移行することとした。 その他は、25年度の研究計画に則り、適正に使用する予定である。
|