本研究の目的は、養育支援訪問事業の実態を明らかにし、事業における「ニーズと支援内容」「支援内容とアウトカム」の関係性に着目し、効果的な支援選択の指標を明らかにすることである。 平成26年度は2点の取組みを行った。1点目として、全国1742市区町村対象に行った養育支援訪問事業に関する実態調査アンケート結果の集計結果を報告書にまとめ、希望があった調査協力市区町村201ヶ所へ送付した。2点目として、先駆的取り組みを行う3市(支援選択の指標となる数値化したアセスメント項目があり、「Healthy Families America(HFA)の考え方を主軸とした専門的相談支援を実践するC市、家事支援の導入のしくみが確立しているD市、支援導入のアセスメント項目、支援内容の決定および実施の評価におけるシステムが確立されているE市)の事業担当者へのインタビュー調査を実施した。 結果として、アンケート調査からは、主に1)事業実施の運営を担う中核機関の設置主体およびその役割、2)支援が必要な対象者の特徴、支援の内容、支援終結の理由等が明らかになった。 養育支援訪問事業の中核機関の役割である「対象者の決定」「支援内容の決定」「支援終結の決定」に関して、①決定に関するアセスメント項目がある②決定に関する方法の規定があると答えた担当部署はいずれも「児童福祉担当部署」が最も多く、次いで「母子保健担当部署」、「母子保健・児童福祉の両方を担当する部署」の順であり、有意な差が認めらた。また、同じ支援における「実践度」と「必要度」の比較から、支援内容として「状況確認」や「指導」においては差異が少なく、「代行」や「同行」で乖離がみられ、その理由は「養育者の拒否」や「支援者の人材不足」等であると示された。 インタビュー調査からは、具体的な「制度運営の流れ」と「具体的な判断基準」「支援の効果」についての内容を得た。
|