研究課題/領域番号 |
24593452
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (80191146)
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研究分担者 |
加藤 則子 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (30150171)
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70264827)
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キーワード | 児童虐待 / 親子再統合 / 児童虐待再発予防 / 児童相談所 / 子育て支援プログラム |
研究概要 |
児童虐待の再発 予防に対する具体的、かつ効果的対応策が示されていない現状にある。本研究の目的は、児童虐待の再発防止(3 次予防)の観点から、1.全国児童相談所の親子再統合 に関する調査を行うこと。2.前向き子育てプログラムの導入とその有用性の評価の2点である。 平成25年度は、24年度の全国児童相談所225カ所のアンケート結果に基づいて、家族支援プログラムの1つであるトリプルPに関心を示した4地域の児童相談所で、プログラムの実践を行い、効果について検討を行った。 分析対象はプログラムを終了した保護者28名(実母26名、継母1名、実父1名)で、平均年齢は39.2歳であった。子どもの平均年齢は7.2歳で主たる虐待のタイプは身体的虐待13名、心理的11名、ネグレクト4名(単独13名、合併15名)であった。28名中7名が一時保護され、15名が発達の問題を持っていた。養育する親においても、28名中12名で、発達障害や心理・精神的不安定等を示していた。 子どもの状態について①SDQ(子どもの長所・短所質問票)、親について②PS(子育てスタイル)③DASS(うつ・不安・ストレスなどの精神状態)、④PSBC(子育ての自信)、⑤子どもへの不適切な行為(JM17)、⑥子育てスキルの使用頻度、⑦プログラム満足度の7種類について調査を行った。プログラム直前とプログラム直後の比較で親への改善効果が得られた。特に子育てへの自信の上昇と、子どもへの不適切な行為の減少が得られた。今後は、プログラムの確立に向け詳細な分析・検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度アンケート調査に基づき、トリプルP実施に関心を示した地域に聞き取り調査を行った。保護者のプログラム参加の継続性についての心配、グループ形成(被虐待児の保護者のみとするか、地域保護者との混在とするか)の問題、プログラムに実施時期(一時保護中であるか、施設入所中であるか、自宅復帰直後を含めるか)などの課題が抽出された。 プログラム実施に当たり、地域の特性を考慮し、担当職員および地域保健師の協力助言によって以下の工夫がなされた。①トリプルPを周知、あるいは自らも研修経験がある方から保護者への説明が行われたこと、②保護者と担当者がプログラム前後を通じて、子育ての不安や困難性についての話題など親子関係について具体的な内容を話し合う機会を持ったこと、③保健所で相談されている子どもの保護者の参加を呼びかけたこと、④一時保護中の時期だけでなく、自宅復帰後の参加を含めたことにより子どもへのプログラム実践が行えたこと、などである。 以上の工夫の結果、プログラムエントリー30名中、プログラムを実施終了することができたものが28名と高率であった。 今回は、プログラム形成において1つのグループの参加者は2名~9名であったため、標準トリプルPおよび障害者の子どもを持つ親へのトリプルP(SSTP)の2つを設定することができず、標準トリプルPの実施とその効果測定となった。
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今後の研究の推進方策 |
子どもの状態について①SDQ(子どもの長所・短所質問票)、親について②PS(子育てスタイル)③DASS(うつ・不安・ストレスなどの精神状態)、④PSBC(子育ての自信)、⑤子どもへの不適切な行為(JM17)、⑥子育てスキルの使用頻度、⑦プログラム満足度の7種類の調査について、属性項目(虐待の種類、子どもの状態、親の状態など)との関連性を分析する。 25年度は結果として標準トリプルPの実施であり、26年度は標準トリプルPでの課題等を確認し、発達障害、知的障害の子どもを持つ親へのプログラムであるSSTP実施の可能性も探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費、人件費・謝金については実績通りの支出で計画性の問題はなかった。郵送、消耗費等について不足分がないように使用したため、12,323円が残金として計上された。 25年度残金12,323円は、26年度の消耗費等に参入する予定である。
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