研究課題/領域番号 |
24593452
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (80191146)
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研究分担者 |
加藤 則子 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (30150171)
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70264827)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 親子再統合 / 児童虐待再発予防 / 児童相談所 / 子育て支援プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、児童虐待の再発防止(3次予防)の観点から、前向き子育てプログラムの導入とその有用性の評価である。 平成26年度は、標準トリプルP(前向き子育てプログラム)を終了した保護者28名を分析した。主たる虐待のタイプは身体的虐待13名、心理的11名、ネグレクト4名であった。保護者28名中12名で、発達障害や心理・精神的不安定等を示していた。調査は、①SDQ(子どもの長所・短所質問票)、②PS(子育てスタイル)、③DASS(うつ・不安・ストレスなどの精神状態)、④PSBC(子育ての自信)、⑤子どもへの不適切な行為(JM17)、⑥子育てスキルの使用頻度、⑦プログラム満足度の7種類を用いた。主たる虐待のタイプが身体的虐待であるA群13名とネグレクト+心理的虐待B群15名の2群に分け、2群のプログラムの前後の比較検討を行った。 SDQにおいて、全体28名で難しさの合計、情緒問題、行動問題、過剰活発で有意な改善が得られ、A群では過剰活発、B群では難しさの合計、情緒問題で有意に改善した。PSでは、A群、B群とも過剰反応、多弁、総合スコアにおいて有意に改善した。DASSでは、A群で総計、ストレスの改善が得られたが、B群では下位項目で有意な改善は得られなかった。PSBCでは、虐待のタイプに関係なく有意な改善が得られた。プログラムスキルでは子どもの発達を促すスキルが多用された。プログラムの満足度、有用性ともに高いものであったが、「パートナーとの関係性の改善」の評価は7段階中の4.6にとどまった。JM17は、A群、B群とも有意な減少が得られた。 子ども虐待による被虐待児の一時保護を考慮された保護者に対し、トリプルPは、親の心理教育面、子どもへの不適切行為の減少において有用で、特に、身体的虐待の保護者に有用であった。
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