研究課題/領域番号 |
24593454
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
中越 利佳 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (70551000)
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キーワード | 子宮頸がん検診 / 検診受診行動 / リプロダクティブヘルス意識 / 20歳代勤労女性 / 20歳代女子学生 / 検診受診環境 |
研究概要 |
今年度の研究目的は、女子学生の子宮頸がんの認知および検診受診行動とリプロダクティブヘルスの理解についての関連性の分析し、20歳代勤労女性との比較検討を行い、勤労女性と女子学生の特徴を明らかにすることである。またインタビュー調査から検診受診行動啓発プログラムのニーズや望ましい受診環境を明らかにすることである。 20歳代女子学生1238名に調査用紙を配布し、507名の有効回答を得た。女子学生を医療系学生と非医療系学生に分け比較検討した結果、子宮頸がん検診受診率に有意差はなく19%と低率であった。子宮頸がんの認知に関しては、医療系学生が高い半面、早期発見と治療の関係性、早期発見と予後(子宮摘出による生殖機能の喪失)についての認知に有意差を認めなかった。 非医療系女子学生と非医療系勤労者の比較としては、検診受診率は勤労女性が有意に高い半面、子宮頸がんに関する認知は学生よりも低いことが明らかになった。また、子宮頸がんの感染経路および子宮頸がんの治療と予後(生殖機能に影響を及ぼす)についての知識は勤労者・学生ともに低いことが明らかになり、リプロダクティブヘルスとしての子宮頸がんの認知に関する啓発活動をさらに普及させる必要性が明らかになった。また、20歳代女性の子宮頸がん受診のための望ましい環境として、クーポン券の有効期間の延長と職場健康診断や大学の健康診断で子宮頸がん検診が同時に受けられること、子宮頸がん検診受診が義務付けられることを望んでいることが明らかになった。 今後の課題としてリプロダクティブヘルス意識を向上させ、子宮頸がん予防に関する積極的な行動が取れるような啓発プログラムの開発を目指すとともにクーポン券の有効期限の検討や職場検診における20歳代の子宮頸がん検診受診を補助の対象とする等の政策提言の必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質問紙調査により、目標である20歳代女子学生と勤労女性を比較し、勤労女性の子宮頸がんの認知と予防意識について特徴と望ましい受診環境については明らかになり、研究成果を学会にて公表した。また、20歳代勤労女性と女子学生を対象に、子宮頸がん検診受診経験者と未経験者に分けてのグループインタビューを実施し、それぞれの対象者の子宮頸がん検診に関する思いや疑問、検診受診行動が取れるための受診環境について情報収集することができた。 しかし、助産学実習や母性看護学実習の実習指導のため、インタビュー調査が10月~12月に限られてしまったこと、グループインタビューを実施するまでに企業や大学のリクルートおよび調査許可を得るまでに時間を要してしまった。そのため、昨年度中にデータ分析ができず、目標であった啓発プログラム原案作成の準備までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(平成26年度の研究推進方策について) 今年度は、昨年度のインタビュー調査の内容を分析し、20歳代勤労女性および女子学生の子宮頸がん検診受診行動への意思決定を促すような啓発プログラムの原案を作成する。またその過程で必要なデータを追加収集するために、20歳代女性を対象としたインタビュー調査を継続して実施する。 また、これまで得られた20歳代勤労女性と女子学生の調査結果を論文執筆し、公表できるように準備する。さらに、インタビュー調査の内容分析結果は学会にて公表できるように準備を行う。 これまでの量的・質的データの分析から得られた結果をもとに子宮頸がん検診受診行動推進のための教材開発(リーフレット、啓発教育用スライドの作成等)に着手する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビュー調査に協力していただいた方の人数が当初の予定より少なかったこと、今年度はデーター入力作業のアルバイト雇用を中止したことによる謝金・人件費の使用額が減少した。 追加調査のためのインタビュー協力者への謝礼およびデータ入力のためのアルバイト雇用を計画している。また、論文投稿料および別刷代金に充当したい。さらに、質的データ―をより正確に分析する能力を習得するための研修会参加費用などに充当したい。 さらに教材開発に向けての情報収集として、研修費用、図書購入に充当予定である。
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