研究課題/領域番号 |
24593455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
江藤 真紀 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30295167)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 転倒 / 視線行動 / 姿勢制御 / 睡眠 |
研究概要 |
転倒に影響している姿勢制御と視知覚における視線行動に着目し、睡眠状態がそれらに与える影響について検討した。今回は、高齢者の転倒予防を最終的な目的とし、そのための基礎的なデータを得るために、健常な若年者を対象とした。 対象は、前庭機能に異常がなく、眼疾患のない女性31人とした。年齢、同居人数、既往歴、治療中の病気、服薬、過去1年間の入院有無、喫煙、飲酒、運動、うつ病評価尺度、睡眠について聞き取りを行った。また、身長、体重、血圧、常用視力、動体視力、握力、下肢筋力、咬合力、足関節角度、長座体前屈、重心動揺(総軌跡長・矩形面積・外周面積)、眼球運動総軌跡長を測定した。 結果、年齢は21.05±0.50歳、転倒発生率は32.3%であった。1日の睡眠時間が短い群と長い群では、視線行動を示す眼球運動総軌跡長に有意差はなかったが、5km/hの歩行速度の視覚刺激を与えた場合の矩形面積で有意な傾向が確認された。睡眠の質でみると、5km/hの矩形面積と外周面積、60km/hの自動車走行速度の刺激下の総軌跡長・外周面積で有意差があった。本研究の結果から、若年者では、睡眠状態は身体バランス機能に影響していることが分かり、質のよい睡眠が転倒予防に繋がるということが示唆された。一般に高齢者は、身体機能の低下や活動性の低下から不眠の訴えが多くなると言われている。そのため高齢者は、今回対象とした若年者よりも、睡眠状態が身体バランス機能に与える影響は大きい可能性がある。日中に目的を持った活動をしている高齢者は、活動時間が長く睡眠効率も良いとされている。地域での活動の場や機会が増えることで、良質な睡眠がとれ、転倒予防の可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プレテストが終了し、機材の再現性や危険度等が確認できた。 また、データの妥当性についても確認できた。しかし、プレテストの被験者が若年者にとどまっており、地域在住高齢者を対象とした調査にまで至らなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度実施した若年者を対象にして収集したデータをさらにクリーニングし、再分析を実施する。 このことから、高齢者を被験者にした際の再現性や安全性の再確認をおこなう。それに基づき、少人数の地域在住高齢者を対象としたデータ収集をおこない、先行研究を用いながら仮説の検証がどこまで可能かを見定める。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定データを収集するための一部の機材の購入をする。これは、研究者が25年度から所属機関を異動したため、旧所属機関所有であった機材の補填が必要となったためである。よって、動体視力計、ゴニオメーター、ヘッドマウントディスプレイの購入を考えている。 また、データ収集におけるマンパワーとしての謝金、調査実施のための消耗品やその他、昨年度の成果発表のための旅費等が必要となる。
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