研究課題/領域番号 |
24593455
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研究機関 | 宇部フロンティア大学 |
研究代表者 |
江藤 真紀 宇部フロンティア大学, 人間健康学部, 教授 (30295167)
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キーワード | 高齢者 / 転倒 / 視線行動 / 姿勢制御 |
研究概要 |
転倒に影響している姿勢制御と視知覚における視線行動に着目した。25年度については、地域在住で日常生活が自立している高齢者約200名を対象として調査を実施した。 対象者は、前庭機能に異常がなく、また脳血管性疾患の既往のない者とした。年齢、性別、同居人数、既往歴、治療中の疾患、服薬状況、運動習慣、睡眠状況、食習慣、うつ病評価尺度、老健式活動能力指標、歯科疾患の既往、視覚関連疾患の既往、過去1年間の入院経験、過去1年間の転倒経験、転倒時状況等について聞き取り方式の面接を実施した。同時に、身長、体重、体脂肪、血圧、視力・動体視力、握力、下肢筋力、咬合力、柔軟性(長座体前屈、足関節角度)、重心動揺(総軌跡長、矩形面積、外周面積)、眼球運動総軌跡長を測定した。 データ収集が年度末に及んでしまい現在はデータの分析中であるため、途中経過のみ報告をする。年齢は、73.9±6.4歳であった。運動習慣のある者は184.6%、老研式活動能力指標11点以上の者は86.9%であり、比較的活発な集団であった。また、過去1年間に転倒経験は19.2%であり、性別、年齢ともに有意差はなかった。さらに、転倒経験の有無では、下肢筋力である膝伸展力のみで有意差が生じた(p<0.05)。加えて、開眼片足立ち時間および重心動揺の矩形面積において有意な傾向が認められた(p<0.10)。 本研究の対象者の多くは、収入源にはなっていないものの農作業に従事している者やグランドゴルフ、市が実施する運動教室等に参加するなど運動習慣がある者が84.6%と日常的に身体を動かすことが常になっている者が多かった。そのためか、先行研究に比べて転倒経験者の割合が低く、かつ転倒経験の有無における有意差が生じた項目が少なかったことが考えられる。今後は、視線行動等を軸にしさらに分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度末までデータ収集に時間がかかったが、高齢者集団のデータが取れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今回収集したデータについて分析を進め、先行研究を用いながら転倒、視知覚、姿勢制御のトライアングルの関係性を追究していく。また、全身の筋力および柔軟性という変数を増やし、これらと視知覚と姿勢制御の関連も分析を試みる。ここから仮説の検証や視知覚を軸にした転倒発生プロセスの解明の一助へつなげる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
参加を考えていた学術集会が1つ減少したために残額が生じてしまった。 次年度配当額に加えて、分析に必要となるソフト、成果発表等に必要となる旅費や謝金、その他等で使用する予定である。
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