研究実績の概要 |
1.前年度工業都市で実践した支援プログラムの有効性を明らかにすることを目的に、地域性が異なる人口5,000人弱の農業を主産業とする町で、子どもに食問題(特におやつの与え方)を抱える母親と子ども6組(11名)を対象に、グループ支援を行った。参加した事例は、「祖父母がおやつを買い与えてしまう」「上の子を下の子に合わせるのはかわいそう」など家族成員の影響により食問題が生じている家族であった。母親の年齢は30代~40代、有職者4名、子どもは子ども園に通園中であった。支援結果として、これまで母親が実施してきた子どもの食生活について「よかった」と確認できる機会になっていた。また、母親の多くは、おやつについは子どもにとっての楽しみなどと受け止め、ルールを設けながら子どもの好むお菓子をおやつとして捉える傾向があった。また、おやつ作りでは、一緒に作っている時、会食の時は親子のコミュニケーションが活発にみられた。親子でおやつ作りをするグループ支援は、これまで母親が実施してきたことを確認できたこと、子どものおやつの意義を見直す機会になったこと、子どもにとっては「幸せの味」と表現できる体験できたことから、母子ともに満足感が大きかった。このことから、有効な支援プログラムであった。 2.食問題のほとんどない事例(3例)と多い事例(4例)とを事例検討した結果、問題が殆どない事例の母親は、実母から伝承されたことを全部実施しており、食事に対して「楽しい」「おいしい」「感謝の気持ち」を大切にして子どもに関わっていた。それに対して問題の多かった事例は、小食・好き嫌いが多い・食べるのに時間がかかる・おやつの与え方が難しいなどの食問題があり、母親が大切に実施していることは、朝食では「時間がないため」手早く食べさせる、夕食では夫の帰りが遅いため「先に子どもだけ食べさせる」などであった。両者には関わり方の違いがみられた。
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